瀬崎祐の本棚

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「Rurikarakusa」 13号 (2020/01) 東京

2020-02-07 22:11:42 | ローマ字で始まる詩誌
3枚のA4用紙を三つ折りにした重ねた軽快な体裁。
同人の花潜幸、草野理恵子、青木由弥子、それにゲストの和田まさ子の作品が2編ずつ載っている。

「背中屋」草野理恵子。その部屋のドアを引くと背中を向けた女がいて、その女と一緒に次のドアを開けると「やはり背中を向けた女がいる」のだ。

   私はきっと私たちと同じで
   私も背中しかないのだと思った

   ドアは開け続けられ
   背中は増え続け

誰かが火をつけた部屋が燃え始め、背中たちが一斉にこちらを向くと「白くつるりとしたものたちだった」のだ。背中屋に行けば皆で立ち去るだけの存在になれるのだろうか。おそらくは言葉を交わすこともなく、相手に向き合うこともなく、ただひとつの方向へ進んでいく背中たちは社会風刺にもなっているようだ。
草野のもう1編は「カワ(たましい)屋」だった。(私(瀬崎)も先月「顔屋」という作品を書いたばかりだった、)

「家路」青木由弥子。誰かが待っていてくれる家が在るということは、それだけでもう幸せなことだろう。家路が明るい山里の風景を辿る道ならばいいのだが、私が歩いているのは夜のアスファルトなのだ。だから、

   だが
   家はどこにある
   その人はもう
   どこにもいないのに

それでも帰らなければならない家は、私にとって何になるのだろうか。最終連は「昼の道に心を残したまま/夜に身をひたしている」

和田まさ子が詩の他に「映画のなかの言葉」というエッセイを寄せている。装幀家・菊池信義の仕事を映像化した「つつんで、ひらいて」について。詩集の装幀も多く手がけていたとのこと。私の知っている関西の装幀家は、与えられた詩集の内容と戦うような気持ちで装幀を考えていく、といった意のことをおっしゃっていた。この映画も機会があれば観てみたいものだ。
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