第5詩集。122頁に16編を収めるが、うちの1編の「断章歌」は39章からなっている。
とても読みにくい詩集である。読み手の言葉を共有しようとする努力を、どこまでも冷たく拒絶するような作品がならんでいるのだ。苦しみは自分一人のものだから放っておいてくれ、とでも言いたげなのだ。
たとえば、「断章歌」の「17」は、
愛に倦んだ日の耳穴に
一滴の毒薬を垂らそうとする
それが世界か
休息は中断されて
夢の向こうの廃墟には
手つかずの麦が熟れている
全てを見たひとが沈黙のうちに刈り取るのだろうか
禁じられた音楽ほどのはげしさで!
(全行)
とても真剣である。まったく余裕のない状態で発せられた言葉がならんでいる。その言葉はやはり何かを求めようとしたのだろうけれども、気持ちが読み手を拒絶してしまっているように感じられる。と言うよりも、気持ちが拒絶してしまったために発せられた言葉なのだろう。だから、言葉は行方を失っており、とても寂しそうなのだ。
読んでいて辛くなるような詩集であった。プロフィールを見ると、5冊の詩集は、すべて最近の5年間に刊行されていた。空に消えていく言葉を、次々に発せないではいられないような作者の気持ちが伝わってくる。
とても読みにくい詩集である。読み手の言葉を共有しようとする努力を、どこまでも冷たく拒絶するような作品がならんでいるのだ。苦しみは自分一人のものだから放っておいてくれ、とでも言いたげなのだ。
たとえば、「断章歌」の「17」は、
愛に倦んだ日の耳穴に
一滴の毒薬を垂らそうとする
それが世界か
休息は中断されて
夢の向こうの廃墟には
手つかずの麦が熟れている
全てを見たひとが沈黙のうちに刈り取るのだろうか
禁じられた音楽ほどのはげしさで!
(全行)
とても真剣である。まったく余裕のない状態で発せられた言葉がならんでいる。その言葉はやはり何かを求めようとしたのだろうけれども、気持ちが読み手を拒絶してしまっているように感じられる。と言うよりも、気持ちが拒絶してしまったために発せられた言葉なのだろう。だから、言葉は行方を失っており、とても寂しそうなのだ。
読んでいて辛くなるような詩集であった。プロフィールを見ると、5冊の詩集は、すべて最近の5年間に刊行されていた。空に消えていく言葉を、次々に発せないではいられないような作者の気持ちが伝わってくる。