瀬崎祐の本棚

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橄欖  85号  (2009/08)  東京

2009-09-24 19:22:09 | 「か行」で始まる詩誌
 「ノクターンの風の日」早矢仕典子。
 前半は行わけ詩の形態で、風の音が強い部屋の中にいるモノローグ。後半は散文詩形となり、立ち話をしている二人の女があらわれる。風は女たちの頭髪を吹き分けて地肌をしろく見せている。書きとめられる言葉は、それこそ風に吹き飛ばされまいと性急で、発話者は女たちの観測者なのか、それとも女自身なのかも混沌としてきている。

   それにしても 今の彼女を ただ否定するしかなかったんだろう
   か あなたの居場所はそこじゃないのに、と 何度もいった 彼
   女は 今のじぶんを否定されたくなかっただけだ 肯定 絶対的
   に肯定してくれる相手がただ必要だった 風がつよい なんとか
   ここに踏みとどまっている

 風に吹き飛ばされそうになっているものは、女たちの感情なのだろうか、言葉なのだろうか。風の中で聞き取りにくい言葉を、必死に叫んでいる危機感のようなものが迫ってくる。風は「烈しい物語」を連れてくるのだな。
 それにしても、日差しは強く、夜でもないのに何故ノクターンなのだろうか?
コメント
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