瀬崎祐の本棚

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交野が原  67号  (2009/10)  大阪

2009-09-03 20:46:11 | 「か行」で始まる詩誌
 金堀則夫の個人誌。個人誌といっても、34人の寄稿者の詩作品(瀬崎も加えてもらっている)や評論、詩集評、子どもの詩の広場を載せ、非情に充実した内容である。

 「葦の川を」北原千代。
 川を流れていく丸太の小舟には、二体の人形が乗せられている。ビスクドールの足首や手足はばらばらに外されている。もう一体はガラスのウサギの人形のようだ。夜をぬけた舟は朝を迎える、そして、

   朝ごとに土地の女は
   ひとり川辺にきて
   壊れものを浮かべ流します
   容れものにそぐわないものはみな
   じぶんで壊します 夜明け前に

 足首と手足がばらばらに外された少女もまた、壊されもの、だったのだ。なぜ壊されなければならなかったのか、そして、土地の女が本当に壊そうとしているものは何なのか。自らの代わりとなる壊されものを作っては川に流している、そんな人の性の悲しさを静かに閉じこめた作品。最終連は、

   船はゆきます
   ひろいひろい湖にむかってゆきます
コメント
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