瀬崎祐の本棚

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ポエームTAMA  64号  (2009/07)  日野

2009-09-10 19:05:16 | 「は行」で始まる詩誌
 「夏至」杉本真維子、は次のように始まる。

   夏至までの数日を
   待てない、というように
   寝床の肌がけをはためかせ
   赤い珠のようなものを捕まえた

 季節の中で漂っていると、感覚も漂っていく。待っているものが愛おしいのか、それとも待つという行為自体が愛おしいのか。なんでもないことなのだからと、無理に抑えようとしているのに心は高ぶってくる。それは、夏至に近づくという季節の巡りによってもたらされているので、説明のできない高ぶりなのだ。

   じっとしていると
   濡れたあざらしの顔が
   闇に喰われて
   ねめっとした、目だけのわたしが、起き上がる

 自分の外側の事象と、自分の内側の感覚が次第に溶けあって、どちらがどちらだったのか、これは外から入ってきたものなのか、それとも、中から出ていこうとしているものなのか、混沌としてくる。その曖昧な感覚がとても美しい。最終行は、

   焼けた砂が縮み、海はまだ、むこうがわにある
コメント
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