隊長が読んだ「本と雑誌 」を紹介するシリーズの第50回は、『虎とバット ―阪神タイガースの社会人類学―』をお送りします。
『虎とバット ―阪神タイガースの社会人類学―』は、アメリカの名門、イェール大学の教授で、社会人類学者のウィリアム・W・ケリー(William W.Kelly)が、「阪神タイガース」という、関西で圧倒的な人気を誇るプロ野球 球団について、フィールドワークを重ねて記した書です。訳者は、おもにスポーツ関連の記事と書籍の翻訳を手掛ける高崎拓哉。
この本に興味も持ったのは、もちろん、隊長がタイガースファンだからです。本書は、なぜ阪神タイガースは多くのファンに愛され続けているのか? その理由を、社会人類学的、民俗学的見地から著者が分析しています。
原題の「The Sportsworld of the Hanshin Tigers」が、『虎とバット』という書名になったのは、アメリカ人作家・ロバート・ホワイティングによって、日米野球の違いを論考した『菊とバット』から来ているのでしょうね。また、『菊とバット』のタイトル自体、米国の文化人類学者・ルース・ベネディクトによる、日本の文化を説明した『菊と刀』を意識したに違いありません。
目次:
日本語版の刊行に寄せて
謝辞
第1章 阪神タイガースの野球とは
第2章 タイガース野球のリズム ── スタジアムとシーズン
第3章 グラウンドの選手たち ── ルーキーからベテランまで
第4章 ダグアウトにて ── 監督とコーチ
第5章 オフィスの内情 ── フロントと親会社
第6章 スタンドの観客たち ── ディープなファンとライトなファン
第7章 プレス席の中 ── スポーツ日刊紙と主流メディア
第8章 教育としての野球、娯楽としての野球
第9章 職場のメロドラマと二番手のコンプレックス
第10章 変わりゆくスポーツワールド ── 現在の阪神タイガース
リサーチと執筆に関する覚え書き
参考文献
本書には、阪神ファンとして常識なことを改めて説明されたのと、米国人によるこんな見方があるのかと感心させられたことの両方がありました。しかし、ファンの立場で言うと、タイガースを社会人類学的、民俗学的見地で分析されようと、好きな事実に勝るものはないと思ってしまいます。
『虎とバット―阪神タイガースの社会人類学―』の発行は、ダイヤモンド社。発行年月は、2019年6月。価格は、1,800円(+税)。
尚、「隊長のブログ」では、阪神タイガースに関する記事を、『猛虎通信』の題名で投稿しています。詳細は、こちらをご覧下さい⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/4aa91a87a04eacbc3c2222df6065bd1d
==「本と雑誌」バックナンバー ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/dc30502bb229b843454e38b8994f9be0
1~35冊 省略
36冊 2018/2/3 『篠原ともえ「御朱印をはじめよう」』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/d1c8862364add0563c147d7f383bc13b
37冊 2018/2/11 『七福神の謎』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/55b58e54afffe373e69649d2c65cdddc
38冊 2018/3/17 『ん-日本語最後の謎に挑む』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4892698c255d0e922d4a5c8860453de3
39冊 2018/5/4 『司馬遼太郎「街道をゆく 本郷界隈」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/49ab040735f970ba1d3440835b38ccbc
40冊 2018/7/9 『香梅の門―桜田志士外伝―』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/a7e483c1c14da2bae314b9728a1d1a47
41冊 2018/11/18『上海の中国人、安倍総理はみんな嫌いだけど8割は日本文化中毒!』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/caa4fb69631a759fae89a59a622711e8
42冊 2019/1/6 『SAKIMORI』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/3b8d6573a2a3ca238ffcf715cfc16e4f
43冊 2019/1/28 『演劇とはなにか』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/fb2b24afd8e949f1504e7d8a707b395e
44冊 2019/3/21 『林真理子「最終便に間に合えば」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4ed2c3cc4f363616dac47d66a9155226
45冊 2019/4/29 『五木寛之「金沢あかり坂」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/63df50584ec0b5be41f86c16edc4f711
46冊 2019/6/2 『沢田研二と阿久悠、その時代』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/901be9ea36c2f3065af05e6dc904b6e2
47冊 2019/6/27 『男のきもの入門』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/a90f9c9c43226a05d7ea4ec327a0cdce
48冊 2019/9/17 『森鴎外「山椒大夫・高瀬舟」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/32860159f6891be24292c3c88c96692a
49冊 2019/12/11『日本100名城公式ガイドブック』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/6e1840d977276b15115b18a3d42fa05a
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