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桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

書道について④

2006-10-24 23:06:39 | 日記・エッセイ・コラム

○担任の先生①

小学校3年になると、毛筆書写が始まる。私はここで運命的な出会いがあった。3,4年の担任の先生が、書道の専門家だったのである。

先生が書くお手本は、子供の目で見てもどれも見事だった。教科書のお手本はあまりに整いすぎていて生気に乏しかったが、先生の書くお手本は、肉筆であるということ以上に、生き生きとしていた。ただ、やはり大人の字であったので、そのまままねて書くというわけにはいかなかった。しかし、教科書にはない言葉を次々にお手本にして書かせるので、とても楽しかった。

専門家の先生なので、朱墨による丸付けや添削も的確で、しかも担任ということで、生徒の褒めどころをつかんでいたので、私などはいつもたくさんの丸がもらえて有頂天だった。しかし、クラスには私と同じくらい、時によっては私以上に多くの丸をもらう子(それも女子ばかり)もいて、私も子供心にライバル心に燃えていた。ある時などは、そうした女子の一人が、申し分のない評言をもらい、六重丸をもらったのに対し、私は細かなところでは丸をもらったものの、全体では二重丸に過ぎず、実に悔しい思いをした記憶がある。この女子には、後に同じ展覧会に出品して何度も負け、書道のあった4年間苦杯をなめさせられ続けた。