○書道を始めたきっかけ
何しろ子供の頃から文字を見たり書いたりするのが好きだったらしい。電話帳にはたくさんの文字が並んでいるからと、電話帳を好んで読んでいた古い古い記憶がある。
そんなことだから、祖父母や両親は、聞けば漢字の読み方を教えてくれたし、祖母に至っては、保育園に通っていた僕に、昔ながらのいろは歌や、「ゐ」「ゑ」までも教えてくれた。
小学校に上がると、週1回書き方の授業があった。どんな授業だったかは覚えていないが、きっとワークブックをひたすら埋めていたのだろう。
私が住んでいた町には毎年、全小学校の3年生以上が参加する書き初め席書大会があった。3~6年生が、当日指定された文字を書き、コンクールに出品されて表彰されるのだが、それに合わせ、コンクールに参加しない1,2年生も、上級生と同じ日に、「おめでとう」「おしょうがつ」などの文字を大きめのわら半紙に、クレヨンやフェルトペンで書いたのを覚えている。
これが、1年生の時に表彰されたのだった。人前で表彰されるとやはりうれしい。家や学校で、いろいろな漢字を教わって書いてみるのがとても面白かった。難しい漢字を書いて見せ、家族がほめてくれるのがうれしかった。
そうなると、私は文字を書くことがどんどん好きになっていたのだった。