桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

登山の記80・至仏山①

2006-08-23 22:21:57 | 旅行記

初めて尾瀬に行ったのは大学4年の時だった。前の晩にふと思いついて、友達二人と出かけたのだった。もちろん装備もいい加減で、私は簡単なリュック、友達は肩掛け鞄だった。食料も、パンやクラッカーなど。今と違って小ペットボトルはなかったので、携帯用の水筒の安いのを買い込んで、それに水を入れて持っていった。

現在の尾瀬は、オーバーユース対策のために、鳩待峠までの道路のマイカー規制をしたり、山小屋を完全予約制にしたりしている。しかし、その頃(15年ほど前)は、マイカー規制も午後3時までだったし、山小屋もフリで泊まることができた。

私はマイカー規制のことを知っていたので、夕方に着くように出発した。鳩待峠まで車で行き、空いている無料駐車場に車を止めた。ちなみに今ではその駐車場は有料で、貸し切りバスやハイヤーの駐車場になっている。

そこから尾瀬ヶ原に下り、霧の中を歩いて、6時頃竜宮小屋に入った。同室の人からは、「どこの町にお出掛け?」と笑われてしまった。

翌日は尾瀬沼を往復し、三条の滝に行き、尾瀬ヶ原の北側を回って鳩待峠に戻って帰った。この時は帰りの尾瀬ヶ原で天気が回復し、尾瀬ヶ原を挟んで、東に燧ヶ岳、西に至仏山を眺めることができた。

その後も尾瀬には5回ほど行ったが、至仏山には足が向かなかった。環境破壊が著しく、登山禁止になっていたり、登山可能な時期が限られていたりしたからである。

後に深田久弥の「日本百名山」を読むと、深田が私と同様に尾瀬ヶ原を挟んで燧ヶ岳と至仏山が対峙している様子を見て感動したことが記されていた。これを読んで、今度は至仏山にも登ってみようと思った。ガイドブックによれば、比較的容易に登れる山のようである。しかし何しろ日本百名山の一つであるから、大変な混雑が予想される。何とか平日に登ることができないか画策した。

それを実現したのは一昨年の7月であった。

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