桑の海 光る雲

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大雪の山々に登る⑪・音更山

2005-06-30 20:49:06 | 旅行記
今日は、昨日書いた石狩岳の北に隣接する音更山に、石狩岳に登った1年前に登った時のことを書いてみよう。なお、二つの山は隣接してはいるが、私は全く別のコースから登っている。
 
ニペソツ山に登るたび、北に見える石狩岳と音更山のどっしりとした山容を見て、いつか登ってみたいと思っていた。石狩岳は、あの深田久弥が下山時に一回転して転げ落ちたというシュナイダーコースに躊躇してしまい、今回は音更山に登ってみた。

層雲峡方面から三国峠を越える手前にある、ユニ石狩岳の登山口から入る。まずは樹林帯のなだらかなコースを行く。鳴兔園という、ナキウサギの生息地を通り過ぎ、視界が開けると、そこが大崩である。大崩とはその名のごとく、大きな岩がごろごろと積み重なったところである。大崩を過ぎたところで道は沢沿いに続く。

道が再び樹林帯に入って少しすると、ブヨ沢への短縮コースに入った。テープが付いており、小さな看板も下がっている。「熊に注意!」とある。熊よけ鈴を持ってきていないので、熊とおぼしき(?)足跡におののきながら、登っていった。

道はすぐ涸れた沢を登っていく。途中、テープを見失ってしまって、二股の沢を左に入ってしまい、文字通り獣道をかなり登ってしまった。踏み跡がブッシュに消えるに及んでようやく間違いに気づく始末。我ながら困ったものである。幸い時間にすると10分ほどしか経っていなかったので、すぐに本来の道に戻ることができた。後は淡々と登り、ブヨ沼に着いた。ここまでで、出発してからまだ1時間半ほどだった。

そこからの登りはかなりきつかった。稜線上にとりつくと,それまで見えていたニペソツ山、ウペペサンケ山、石狩岳に加え、表大雪の山々が眼前に広がる。風も心地よく、爽やかだ。ふり返ると、阿寒の山々まで見渡せる。しかし、トムラウシや十勝連峰は雲に隠れてしまっている。そんな眺めを楽しみながら登っていくと、音更山本体の手前にある小ピークにたどり着く。
 
道は再び下り、いよいよ音更山への最後の登りになる。樹林帯を過ぎると、道は尾根筋に出る。そこでようやく音更山の山頂を目にすることができる。尾根筋を15分ほど行くと、山頂にたどり着く。結局山頂まで2時間40分ほどで着いた。そんなに急いだつもりはないが、コースタイムに比べれば、かなり速く着いてしまったことになる。山頂にいた人たちは、皆シュナイダーコースから上がり、石狩岳を登頂し、音更山、十石峠をまわって下山するという。シュナイダーコースは下山路に使わない方がよい、とも聞いた。石狩岳への道はますます遠くなった。

山頂からの眺めは見事であった。表大雪、東大雪の山々が一望できる。トムラウシと十勝連峰はやはり目にすることは出来なかったが、この眺めを楽しめただけでも良しとしよう。
 
それにしてもニペソツ山の眺めは見事だった。まるで槍ヶ岳と見まごうばかりの鋭いピラミッドが天を刺すようにスッキリと立っている。そして、あの頂に3度も立ったことがあるかと思うと、まさに感慨無量であった。

石狩岳も、どっしりとした山容を見せている。山頂からの道は、吊尾根を通り、石狩岳へと続いている。もう少し早起きすれば、そして、今日ほど暑くなければ石狩岳まで行けたのだが、音更山までですっかり体力を使い果たし、気力も残っていなかったので、後ろ髪引かれつつ山頂を後にした。

コメント
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