桑の海 光る雲

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礼文島断章23・何気ない景色いろいろ

2005-05-16 21:49:29 | 旅行記
礼文を毎年訪れて、何となく気に入って記憶に残っている景色、というのがいくつかある。今日はこれを書いてみよう。

○花咲く地蔵岩
6月になると、地蔵岩のあちらこちらに白い花が咲く。エゾイヌナズナあたりではないかと思われるが、これがなかなか美しい。なぜか同じ白い花しか咲いていないのが不思議である。2,3度目にしているが、1度だけ目にした、雪をかぶった地蔵岩と並んで印象に残っている。

○船泊の浜の古い桟橋
コンクリート製の、半ば朽ちかけた桟橋が、船泊の砂浜にぽつんとある。相当前に作られた物らしいが、どういう目的で作られたのだろうか?去年の夏、眩しい午後の日差しのもと、その桟橋に腰掛けて、足下を海に洗われながら、青い海と、その向こうに浮かぶトド島を眺めていた。古い桟橋と、そこで流れていた何ともゆったりした時間が印象に残っている。

○一本の木
レブンウスユキソウの群生地を通り過ぎると、礼文林道は北東へと向きを変え、一つの山を回り込む。そこを回り込んで振り返ると、一面の笹原に一本のダケカンバの木が生えている。木は風の影響を受けて、盆栽のように曲がって、何とも味のある姿をしている。このコントラストが印象に残っている。

○ウエンナイへ続く道
ここには好きな景色がいろいろある。またここは、木の少ない礼文の中で珍しく大きな木々が生い茂っているところである。雨のぱらつく日、ウエンナイへ続く道を歩いていた時、ふと谷の向こうを眺めた時、木々にガスがかかり、何とも幻想的な眺めだったのが印象に残っている。

○礼文空港
今では定期便の来なくなってしまった礼文空港。星観荘が船泊にあった頃、天気の悪いある日、雨がやんで空が明るくなってきたので、暇つぶしに空港に行ってみた。すると、足下に一面にピンクのエゾノカワラナデシコが咲いているのに気付いた。もう、本当に一面に、という感じであった。その群落に見とれていると、遠くの方から轟音が近づいてきた。南の方を見ると、何と飛行機が飛んできたのである。稚内からの定期便であった。大きな音とともに飛行機は着陸し、ターミナルへと進んでいった。今では見られないが故に、印象に残っている。ナデシコの群落は今も変わらないことであろう。

○カエル岩
召国に一度だけ行ったことがある。本来の道とは異なる道を下って行き海岸に出ると、目の前に初めて見る景色が現れた。海岸から少し離れたところにある岩が、まるでじっとしているカエルのような姿をしている。Mさんが「あれがカエル岩だよ。」と教えてくれた。そう話してくれた時、足下に、地面にへばりつくように咲いているハマナスがあったのも印象に残っている。

○カモメの水浴び
フェリーターミナルから星観荘へ乗せていってもらう途中、小さな川の河口でカモメが水浴びをしている光景を必ず目にした。海にいる時に付いてしまう寄生虫を、真水に浸かることで落とそうとしているのだそうだが、その姿が何とも愛らしかったのが印象に残っている。「愛らしかった」というのは、現在では護岸工事が進んで、その光景を目にすることができなくなってしまったからである。カモメの水浴びは、今では礼文滝の上で目にすることができる。



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