桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

礼文島断章21・94年の礼文の話⑥

2005-05-13 21:26:22 | 旅行記
24時間コースのゴールは感動的だった。ゴールは自分の時しか知らず、去年のMさんの時は出迎えられなかったのである。24時間、本当に楽しかったらしく、皆表情が輝いて見えた。一日天気が良かったので、皆陽に焼けてもいた。

その夜は、ゴールした皆を祝福し、完歩記念の寄せ書きを書いた。「24時間コース、完歩おめでとう!」の部分を筆ペンで書かせてもらったのは嬉しかった。

その夜は24時間メンバーには本当なら早く休んで欲しいところだったのだが、SさんHさんのオリンパスコンビが明日島抜け、いろいろ楽しませてもらったOちゃんとYちゃんも島抜けなので、住所交換などして夜遅くまでいろいろ話していた。

その翌朝。フェリーに乗り込んだ皆を、今年の企画である人文字で見送ることになった。「いってらっしゃい」の文字を、数人ずつで形作る。それを島抜けする人が一枚ずつ写真で撮す。私のところへは、Oちゃんが送ってくれた。それなりに文字になっているのが面白かった。

見送りを終え、私達はそのままスコトン岬に送っていってもらった。今日は4時間コースを歩くのである。Qちゃん、Rちゃん、Tさん、Wさん、Yさん、そして名前を忘れた姉妹の総勢8人である。とても楽しそうな(濃そうな?)メンバーで、大いに楽しみだった。

ところが、この日は昨日とうってかわって、大変な強風、しかも雨こそ降ってはいないものの、一面曇り空である。しかし、”役者”のそろった一行である。歩き始めからそれはそれは楽しいハイキングだった。時に姉妹が真面目に花の名前をQちゃんに尋ねたりするのが、ただお笑いというか、コントになってしまいそうな雰囲気を引き締めてくれる。でも、姉妹も途中で昆布を拾って、それを真面目に持ち帰ろうと、ずるずる引きずって歩いているのも笑えた。

とにかく風が強かった。写真を見ると、吹き飛ばされそうな風に耐えているような表情や格好ばかりが並んでいる。風が強いまま、ゴールでもある澄海岬に着いた。前日とはうってかわり、海は荒れ、白く波立っていた。

その後はどう過ごしたのかわからない。でも、見送りに行ってから歩き始めたので、澄海岬にはわりと遅い時間に到着したものと思われる。そうなると、バスで星観荘まで帰ってきたのだろう。(ちなみに現在では澄海岬からの路線バスは廃止されている。)ともかく、話の内容は全く覚えていないけれど、私が思うに、これまで経験した中でも最高に楽しい4時間コースであった。

その夜は、残っていた24時間組のSさんが明日島抜けということもあり、ブラックホールでのミーティングでは、珍しく彦さんのギターと歌が披露された。楽しい思い出を一緒に胸に刻んできた人達が、一人、そしてまた一人と島抜けして行く。それはとても寂しいことで、彦さんのギターと歌は、そんな寂しさをいっそうしみじみと感じさせてくれるものだった。

コメント
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