みちのくの山野草

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「法華経」と「日蓮主義の法華経」

2020-02-22 10:00:00 | 賢治渉猟
《『批評空間 Ⅱ 14』(太田出版)の表紙》

 さらに関井氏は、
 『銀河鉄道の夜』の中に「たゞいちばんのさいはひに至るためにいろいろのかなしみもにんなおぼしめし」ですという会話が挿入されています。賢治論によく引かれる箇所ですが、これは先ほど挙げた田中智学の日蓮主義の理念なんです。…投稿者略…「ほんとうの天上へさへ行ける切符」と説明されている。ここでいう「本当の天上」とは日蓮主義の浄土のことなんです。…投稿者略…この『銀河鉄道の夜』のなかにキリスト教が書かれているのは、日蓮主義の「摂受」にもとづいているので、キリスト教が問題になっているわけではない。
              〈『批評空間 Ⅱ 14』(太田出版)16p〉
とも語っていた。そして私は、なるほどそういう見方もできるのかということを知って、どうやら今までの見方を修正せねばならないようだと覚った。もちろん私は今まで、そこでは「キリスト教が問題になっている」のだと解釈していたからだ。
 そして関井氏は、
 宮澤賢治というと、だれもが法華経を挙げるのは、このような文脈から言うとおかしいんですね。宮澤清六さんが國柱会のことを隠蔽するためにそのような装置を作ったことに要因があるけど、法華経と日蓮主義の法華経では解釈が異なるんですね。
              〈同〉
と念を押していた。そうか、「法華経」と「日蓮主義の法華経」とでは解釈が異なるのか。賢治の場合にまず挙げるべきは「日蓮主義の法華経」なんだ。……冷静になって考えてみれば、当然のことではあるのだが。
 そしての時、私は以前、
    賢治の法華経の解釈は間違っている点もあるのです。
という意味のことを熱心な日蓮宗の信者の方から直接教わったことを思い出した。

 ということは、賢治研究者の中にもそして賢治自身もまた法華経の解釈の仕方に間違っている点もありそうだということかな。

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