みちのくの山野草

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「第六章 告白する女、しりぞく男」(あやかし・後編)

2018-12-23 12:00:00 | 検証「Wikipediaの高瀬露」
《『宮澤賢治幻の恋人』(澤村修治著、河出書房新社)》

鈴木 それでは再開しよっか。少し問題のありそうな個所が幾つかはあるのだがそれらは飛ばして、149pから該当する事項を、今までのものに付け足しながらリストアップして見る。
 まずは前回のものが、以下の、
(1) ×(露は)自ら賢治に気持ちを告白する一途な女性で(138p)
(2) ×(露は)賢治のことを本気で愛したのだ。(142p)
(3) ?(露は)嘉藤治-賢治の音楽サロンにも参加していた。(142p)
(4) ×(露の)女のこころにあこがれの小さな火がともる(142p)
(5) ×あこがれた賢治がきんりんにやってきて、ひとりで暮らしている。露のこころが騒いだ。(142p)
(6) ?「先生にわたしを紹介してくれませんか」露はそう頼んできた。(142p~)
(7) ?「わたし(露)は先生の洗濯物や買い物の世話をしたいと思っています」(143p)
(8) ?女(露)のほうから「紹介してくれ」と言ってくるのだから、時代と場所を考えるとその積極性は特段のものであろう。(144p)
(9) ×女(露)はすでに恋が始まっていた。(144p)
(10) ×露の行動は、自然と大胆になってくる。(144p)
(11) ×露は真剣だった。(144p)
(12) ?(露は)やがて貸してほしいとも言い出した。賢治が親しんだ本を、自分も読んでみたいという申し出である。(145p)
(13) ×それにしても物怖じしない女性である。野性的な情熱であるといってもよい。(145p)
(14) ×本を返すのは名目であり、あるいは借りるのも名目であった。賢治に会いたい。すがたを見たい。露の恋ごころは重症化してきた。(145p)
(15) ×無邪気なまでに情熱が解放されていた。(145p)
(16) ?露は賢治がまだ床にいる早朝にもやってきた。(145p)
(17) ×一日に何度も来ることがあった。(145p)
(18) ×露の行動は今風にいえば、ややストーカー性を帯びてきたといってもよい。(145p)
であり、そして今回のものは以下のとおりで、
(19) ×この年(昭和二年)の秋、賢治を訪ねて協会に向かった森佐一は(149p)
(20) ×露と入れ替わって、森荘已池は協会に入る。(149p)
(21) ×女(露)はフラストレーションといかりに駈られながら、協会をあとにした。「昂奮に真赤に上気し、ぎらぎらと光る目をした女性」となって。(151p)
(22) ?露はこのころ高橋に、「どうしても先生と一緒になりたい」と言っていた。(152p)
(23) ×それでも女が来る。一途になったら、もう引き返さない露である。(152p)
(24) ×賢治が奇矯にふるまっても、露はいっこうにおそれない。恋する女には効き目がないのだ。(153p)
(25) ×万事にストレートな露は、発言をストレートに受け取ったのである。(154p)
(26) ?後者(露)は三項目(責任感、自制心、感情の動揺が少ないこと)に決定的に欠けたパーソナリティだったようだ。(154p)
(27) ×賢治の露あての手紙が何枚か残っている。(155p)
(29) ×(露が)持ち込まれた縁談を賢治に相談していた事情がわかる。(157p)
(30) ×それでも露は恋に落ちて行ったのだ。(157p)
(31) ?露については、賢治の周囲にその行動をこころよく思っていなかった者が多かった。(161p)
(32) ×これを露自身が、自ら男の家まで出向いていったことになっている。(162p)
(33) ×露もどうやらいささかバランスが悪い。(163p)
となる。
 そして念のために再確認するのだが、
 ×印の項目は断定できるだけの典拠等はないし、澤村氏が検証したものだとも言っていないもの。
そして
 ?印については誰かが言ったいうことになっているが、それはただ一人のそれであり、当然それだけではそのことを根拠にして断定はできないというもの。
ということだ。
荒木 前回よりも今回の分は数が少なかったけど、まだこんなに「あやかし」があったのかよ。
吉田 ただし一つ、〝(26)〟だけは推測だろ。
鈴木 あっ、言い忘れてた。吉田の指摘どおりで、〝(26)〟は他と異なっていて推測だ。
 というのは、かなりの問題発言であっても「……だったようだ」を尻尾に付け足せば、それは推測の範囲だから言論の自由があるので許されるだろうが、この〝(26)〟のような記述は推測表現ではあっても、露の人格をまさに貶めているから、これは人権に関わる事項なので看過できないからこのリストの中に入れた。
吉田 どうやら、人権意識が低いということをして、これらの多くの「あやかし」を書かしめたとも言えそうだな。
荒木 しかし、これだけの×印や?印の多いものを活字にして公にするということは許されるもんだべが。
吉田 ちょっと厳しい言い方になるが、想像力が足りないんじゃないのかな。だからだろう、立場を入れ替えて考えてみるということをまずしていない、という個所が多すぎる。しかも、このようなものが一旦活字になって公になると、それが独り歩きし出すし、これらをそのまま再生産するという人たちが現れるということを、想定も懸念もしていないようだ。そしてまさにそれが、実際に「Wikipediaの高瀬露」の中で起こっているということだ。
鈴木 ということで、それじゃこれらの(1)~(33)の項目を踏まえて、そろそろ「Wikipediaの高瀬露」そのものの検証を始めよっか。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

             〈平成30年6月28日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
 その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました
 そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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