みちのくの山野草

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「推測」を勝手に「断定」に書き変えたりしている

2018-12-29 08:00:00 | 検証「Wikipediaの高瀬露」
《『宮澤賢治幻の恋人』(澤村修治著、河出書房新社)》

鈴木 では今度はこれ、


やがて1930年10月頃、恋に破れたと悟った露は賢治を恨むようになり、賢治の作り話である「癩病」の噂を周囲に言いふらして歩いた[14:p.158]。この露の行動に賢治は怒り、

聖女のさましてちかづけるもの
たくらみすべてならずとて
いまわが像に釘うつとも

云々という詩を「雨ニモマケズ手帳」に記している[15:p.158-159]。
についてだ。

吉田 それではまず[14:p.158]について、例のリストの中の該当項目を確認したい。
鈴木 ない。
荒木 ってことはどういうことよ。
吉田 それを知るには、『宮澤賢治幻の恋人』の158pを見直しながら、
 やがて1930年10月頃、恋に破れたと悟った露は賢治を恨むようになり、賢治の作り話である「癩病」の噂を周囲に言いふらして歩いた。……①
に関することを澤村氏はどう書いているかということをチェックれば明らかになるだろう。
荒木 ならば今回は俺にそれをさせてくれ。どこどこ、158pの中で関連することな……。そっか、「ふかいいかり」という項を見ればいいのだな。こんなことが書いてある。
 恋に破れ、結婚の望みを絶たれた露は、賢治について中傷を始めたとされる。その内容は、賢治の言った「癩病」云々を告げていたことらしい。……②
 なあんだ鈴木、書いてあるじゃないか該当することが。
吉田 でもいいか荒木、鈴木は本来は断定できないものが断定表現されているので、それらをあ時はリストアップしたのだ。ところが今荒木が挙げた〝②〟は、「とされる」とか「らしい」という語尾が付いているので風聞や推測ということになって、断定はしていないからリストの中に入れなかったんだ。そうだろう。
鈴木 うん、そう。
荒木 なるほど。いってみれば、「Wikipediaの高瀬露」の編集人は出典の推測〝②〟を〝①〟という断定に書き換えたということか。
鈴木 しかもだ、その158pには、「1930年10月頃」なる文言はどこにも見つからない。おそらく、関登久也の昭和5年の『短歌日記』のことがこの編集人の頭の中にあって、それに引っ張られたということが考えられるが、さりとて、それを出典にしたということを同編集人はもちろん脚注には書いていない。
荒木 そういえば、先に〝出典をいじくってる?〟において、   
 「1927年初頭」という文言は、「Wikipediaの高瀬露」の編集人が誤解して書き加えた文言ということになる。
ということが指摘されたが、今回もまた出典には書かれていない「1930年10月頃」が唐突に使われているから、似たようなことがここでもまた行われていたわけだ。これじゃあ、ますますこの編集人の記述内容の信憑性は薄らいでいくんだよな。
 しかし、第一義的には同編集人がこれらのことの責任を問われるわけだが、澤村氏には結果責任が生じないのかな。
吉田 それは当然あるだろう。この〝②〟については推測だから表現の自由の下、まあ許されるかもしれないが、そもそも「第六章 告白する女、しりぞく男」にはかなりの「あやかし」が書かれていることもあり、この「あやあかし」とこの「推測」が活字になってしまえばそれが独り歩きし出すことは物書きとしては認識しておくべきことであり、少なくとも結果責任は免れられない。
鈴木 そしてまた、澤村氏の記述である「恋に破れ、結婚の望みを絶たれた露は」の部分については実は断定とも取れないわけでもないから、もしそうであったとするならば、私の知る限りこれをしかと断定できるだけの根拠を私は知らない。
荒木 つまり、〝①〟についてはかなり問題だし、〝②〟についても問題が無いわけではない、ということだな。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

             〈平成30年6月28日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
 その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました
 そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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