みちのくの山野草

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検証結果についての評価や反応

2021-11-22 18:00:00 | 「賢治年譜」等に異議あり
《『筑摩書房様へ公開質問状 「賢治年譜」等に異議あり』(鈴木 守著、ツーワンライフ出版)の表紙》

 しかしながら、先の㈠~㈦の検証結果は、『新校本年譜』等の記載、あるいは通説や定説とはかなり異なっていたり、中には正反対だったりということで、そう簡単には世の中から受け容れてもらえないであろうことは充分に覚悟していた。それは、もちろんこの㈠~㈦については自信はあるのだが、かつての私からしても、これらはいずれも皆荒唐無稽なことばかりだからでもある。ところが実は案外そう悲観したものでもなく、例えば、次のような評価や反応も頂いている。

㈠ 「独居自炊」とは言い切れない〟については、このことを論じた自費出版の拙著『賢治と一緒に暮らした男ー千葉恭を尋ねてー』を入沢康夫氏に謹呈したところ、
 これまでほとんど無視されていた千葉恭に御著によって、初めて光が当たりました。伝記研究上で、画期的な業績と存じます。(平成23年12月27日付入沢氏書簡)
という評をいただいた。

㈡ 「羅須地人協会時代」の上京について〟は、いわば「賢治昭和二年上京説」であり、それは拙ブログ『みちのくの山野草』においてかつて投稿した〝2469 10回目の上京の別な可能性(#1)2513 「賢治の10回目の上京の可能性」〟というシリーズにも当たる。するとその投稿の最終回において入沢康夫氏から
祝 完結 (入沢康夫)2012-02-07 09:08:09
「賢治の十回目の上京の可能性」に関するシリーズの完結をお慶び申します。「賢治と一緒に暮らした男」同様に、冊子として、ご事情もありましょうがなるべく早く上梓なさることを期待致します。
というコメントをいただいた。しかもご入沢氏自身のツイッター上で、
入沢康夫 2012年2月6日
「みちのくの山野草」http://blog.goo.ne.jp/suzukishuhoku というブログで「賢治の10回目の上京の可能性」という、40回余にわたって展開された論考が完結しました。価値ある新説だと思いますので、諸賢のご検討を期待しております。
とツイートしていることも偶々私は知ったからである。つまり、同氏から、チェロ猛勉強のための「賢治昭和二年上京説」に強力な支持を得ているものと私は認識している。

㈤ 賢治の稲作指導法の限界と実態〟に関しては、本書の〝第二章 賢治の「稲作と石灰」について〟でも言及しているのだが、拙ブログ『みちのくの山野草』の中で、ここ暫く相変わらずコンスタントに閲覧数の最も多いのが、〝稲の最適土壌は中性でも、ましてアルカリ性でもない〟というタイトルの投稿(平成29年1月7日)である。
 言い方を換えれば、賢治の稲作指導法の実態等についての誤解が世間には少なからずある、ということをこの閲覧数の多さが示唆していそうだ。

㈥ 「下根子桜」撤退と「陸軍大演習」〟に関しては、東北大学名誉教授大内秀明氏より次のような評をいただいている。
 ところで賢治の「真実」ですが、『賢治と一緒に暮らした男』の第一作に続き、今回はサブタイトル「賢治昭和二年の上京」に関しての『羅須地人協会の真実』でした。と同時にブログでは、「昭和三年賢治自宅謹慎」についての「真実」を、同じような仮説を立てての綿密な実証の手法で明らかにされています。この手法は、幾何学の証明を見るように鮮やかな証明です。実を言いますと、「昭和二年の上京」よりも、「昭和三年賢治自宅謹慎」の方が、現在の問題関心からすると、より強く興味を惹かれるテーマです。このテーマに関しても、すでにブログで「結論」を出されていますし、その後に『羅須地人協会の終焉―その真実』として、先著の補巻のような形で刊行されました。鈴木さんの問題の提起は、「澤里武治宛の宮沢賢治書簡」(昭和三年九月二三日付)の文章にあります。「お手紙ありがたく拝見しました。八月十日から丁度四十日の間熱と汗に苦しみましたが、やっと昨日起きて湯にもはいり、すっかりすがすがしくなりました。六月中東京へ出て毎夜三四時間しか睡らず疲れたままで、七月畑に出たり村を歩いたり、だんだん無理が重なってこんなことになったのです。演習がおわるころはまた根子へ戻って今度は主に書く方へかかります。休み中二度お訪ね下すったそうでまことに済みません」ここに出てくる演習について、その意味を探って行きます。以下、簡単に紹介させて貰いましょう。
   ……(以下投稿者略、詳しくは『筑摩書房様へ公開質問状 「賢治年譜」等に異議あり』の42p~43pをご覧いただきたい)……
 以上が、「不都合な真実」に対する本当の「真実」です。ここでも羅須地人協会と賢治の活動の真実に基づく実像を明らかにする上で、大変貴重な検証が行われたと評価したいと思います。
〈『宮沢賢治の「羅須地人協会」 賢治とモリスの館十周年を迎えて』(仙台・羅須地人協会代表大内秀明)31p~〉

 という次第で、先の㈠~㈦等についてはさらに自信を持ったのだが、そこには構造的な問題も横たわっていそうだから、㈠~㈥等の評価がどう定まるかは歴史の判断に委ね、俟っていようと思っていた。

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『筑摩書房様へ公開質問状 「賢治年譜」等に異議あり』の目次”へ。
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《ご案内》
 来る12月16日付で、新刊『筑摩書房様へ公開質問状 「賢治年譜」等に異議あり』(鈴木 守著、ツーワンライフ出版、550円(税込み))を発売予定です。
【目次】

【序章 門外漢で非専門家ですが】

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