お愉しみはココからだ!!

映画・音楽・アート・おいしい料理・そして...  
好きなことを好きなだけ楽しみたい欲張り人間の雑記帖

「男は嫌いだ。だから俺は女と付き合うんだ」

2006年10月08日 | Cinemaを愉しむ
『心みだれて』はメリル・ストリープとジャック・ニコルソンの大女優・俳優が出演している、決して派手ではない映画です。『卒業』の監督であるマイク・ニコルズであることを見て、三連休のこの週末はこれを観よう、とレンタルすることにしました。

夫(ジャック・ニコルソン)の浮気を見つけ、怒って実家に帰った妻(メリル・ストリープ)が父親に泣きついた時の父親の台詞が冒頭のものです。この父親すでに妻を亡くしており、他の女と遊んでいるという。言う台詞が憎い。

「私は今買い手市場にいるんでね」

それを聞いた娘はシラッとした気持ちになってしまうのです。

この映画は一体何をテーマとしているんだろうと考えてしまう映画でしたね。離婚歴ある女がコラムニストと出会って結婚、かわいい子供ができたが夫の浮気が発覚して別居、夫は謝罪して復縁。二番目の子供が生まれた直後、再度夫の浮気が発覚(しかも一回目と同じ相手の女)。気の置けない友人たちとの夕食会の席上で、妻は手作りのパイを夫の顔にぶちまけて去っていく。エンディングは二人の子供をつれて飛行機に乗り込むという場面で終わります。

最近離婚した共通の友人が実はレズビアンだったことが理由だった、結局は人は一緒に暮らしていても本当は理解しあっていないのよね、との他愛ないゴシップから、突然メリルの深刻な独白に移ります。

相手を愛しすぎていることから自分も愛されていると思い、日々の生活の変化の積み重なりが突然破局になる、夢に生きていたことに気付き、後は夢の残骸にしがみ付くか別の夢が探すしかないのよ、

といった非常に重苦しい独白が始まるのだが、この時のニコルソンの表情がとってもニコルソンらしい演技です。何かまずいことが起こっているぞ、という気配を顔中に表わすのだ。当惑して顔をしかめつつも回りの反応をそっと伺う、そんな疚しい男の顔が、たった数秒しかないシーンなのだがしっかりと演出されています。キアヌやデカプリオのような若い俳優だったら、ぶすっとした表情か呆れ顔になるかしかできないようなシーンでも、しっかりと顔の表情だけで演技できるところがニコルソンの真骨頂ですね。お話はメリルを中心に展開し、タイトルにはメリルの名前が上に載ってはいるものの、メリル以上の存在感がニコルソンにはありました。

音楽はカーリー・サイモンの歌。赤ちゃんがクシャミしてママの顔がほころぶ、という日常の1コマを扱った歌詞なのですが、この映画には合っています。ホッと気を楽にさせてくれる音楽に併せてカーリー・サイモンならではの優しい声色で、お話がシリアスになり過ぎないようなブレーキ役になっています。カーリー・サイモンと言うと、「007私を愛したスパイ」を思い出したのですが、この映画の主題歌の方が彼女の持ち味を十分に出していて好きですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする