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好きなことを好きなだけ楽しみたい欲張り人間の雑記帖

「貨物列車がびっくりして泥道に脱線してしまうくらい顔が醜い」

2005年12月11日 | パルプ小説を愉しむ
著者のデニス・リーマンは、銀行強盗で服役している最中に『囚人同盟』を書いたのだそうだ。囚人が監獄の中での出来事を書くのだから、やはり言葉は汚い。表題の台詞は、獄内のサディスト医者向けられた台詞。

マクニール刑務所内でもそれなりに知られた悪い奴らが入っている房に一人も男が新入りとして入ってきた。FBIのような髪、長身で男前の新入り。手荒い歓迎もソツなくこなしたばかりか、何と大物銀行強盗だということが判明。恥じ入る同房のワルたち。でも、この新入りはワルどもを引き連れてとんでもないことをやらかす。自分が被った冤罪への復讐であり、育ての親の親戚を騙して自殺に追い込んだ銀行頭取、そして州を牛耳るその親族。PCと統計を活用して、刑務所の中から地元競馬への金をつぎ込む。自分たちは見事に勝ち馬をあて、刑務所署長が盗聴していると気づくや、ガセ情報を掴ませて署長は借金のクソ壷にずっぽりと嵌る。それと同時にワル仲間たちは、手に職をつけつつ自尊心というものを取り返す。なんと美しい物語。

このヒーローの感化をうけたテキ屋の主人公フラットストアも、それなりのインテリになってしまって、

「この地球上には、この親愛なるアメリカ合衆国においてすら、狂気が正常で、真実とはたえず改良の手が加わる虚偽であり、・・・」

などといった台詞が冒頭から飛び出す。

何事に対しても知識を持ち、ケンカも頭も強い男が、真のワルたちを懲らしめる一種のヒーローもの。映画にすると、きっとシュワちゃんが登場するんであろうストーリー展開は、単純すぎて却って読み手の興味をそそってくれます。
コメント
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