新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
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花には甘い香あれど:センダン(栴檀)

2005-05-26 06:58:16 | 植物観察1日1題
山のあちこちに、薄紫色の花をつけたセンダン(センダンカ科センダン属)が見られます。
あまりにも有名な西行法師の「撰集抄」による“せんだんは双葉より芳し”から、誰でも知っている栴檀という名ですが、殆どの人はどの木が栴檀かは知らないようです。
このセンダンの木には格別の香は無く、“双葉より芳しのセンダン”は香木であるビャクダンの誤用または異称とされています。このセンダン論議なかなかややこしく、①中国でビャクダンと誤用したのか、②西行?が誤用したのか、③和名、種名がつく過程で混乱したのか、よくわかりません。深津正氏は、“問題はセンダン科のセンダンになぜ栴檀なる漢名が当てられるようになったかだ。三井寺に千個の団子を供える千団子祭り、別名栴檀講というのがあり、秋にセンダンが黄色い実を枝一面につけている様をこれに関連づけられたのではないか”との説を唱えています。
栴檀論議はさておいて、楝(おうち)という和名を持つこの栴檀は淡紫色の複集散花序をつけ、遠くから見ても近くで見ても品がよく、花には甘い香もあります。唱歌「夏は来ぬ」でも“楝ちる川辺の宿の門遠く・・・”と、歌われ、季節を代表する花のひとつです。
昔、この木が獄門のさらし首の木に使われたというのはちょっと意外な感じです。