冬の日没は意外に早く、町並の上の透き通った青空の下側には、既に
薄いオレンジ色に染まった空が屋根のすぐ上にまで迫っている。
列車が駅に滑り込むと、ホームを照らす蛍光灯の長い光の帯も輝いて際
立っていた。
夕方5時を少し過ぎた頃、伊那市駅に到着した。
相対式ホーム2面2線を持つ有人駅で、ここには駅長も配置されている。
帰宅時間を迎えているのであろうか、学生などホームには列車待ちの人
が意外に多い。久しぶりに目にするホームの活気ある人混みである。
伊那市は人口6.6万人余り、伊那谷北部に位置し、南信州地方では中
核的な町である。
その中心的な駅で、町もここを起点に開けていると言うが、良く知られ
ているのは桜の名所として有名な高遠城址公園への玄関駅である事だ。
駅からバスで30分程の距離だと言うが、残念ながらまだ行った事も無く、
シーズンには是非とも訪ねて見たいと思っている。
日本さくら名所100選の一つである公園には、およそ1500本もの桜が
咲き誇る桜祭りが知られている。
明治に入り城が取り壊され城址公園になった折、旧藩士達が城内の桜馬
場から桜を移植し、或は新たに植樹をしたのが始まりで、百年を越える
古木も多いという。
次の伊那北駅は、単式と島式ホームに3線を有する無人駅だが、町も
この辺りまで連続して開けているので、利用客は伊那市駅に引けを取ら
ないほど多いらしい。この二つの駅間は短く1㎞にも満たないので、歩
いても15分も有れば行けるという。
列車はこの先で田畑、北殿、木ノ下と停車を重ね終着駅に近づいていく。(続)
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