簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
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食べたまま、書いてます。

タンチョウと金烏城(はれのくに)

2016-02-12 | Weblog
 「留学時代が懐かしい後楽園も戦災で城を失った今の眺めは寂しい限り、せめ
て鶴を立たせて良き伴侶としたい」こんな意味の漢詩の、直筆で書かれた石碑が、
岡山後楽園の片隅に建っている。



 園の南に建つ岡山城は戦前には国宝に指定されていた名城だが、残念ながら
昭和20年6月29日の岡山大空襲で、市街地と共に焼け落ちてしまった。
また園では築園当初から鶴が飼育されていたとされるが、これも大戦の後絶滅し
ていなくなってしまった。





 そんな状況を見兼ねた郭沫若(かく・まつじゃく:岡山の旧制第六校で学び、後に
中国科学院院長になった)氏のこんな思いと計らいで、昭和31年、中国から2羽の
丹頂鶴が贈られた。それを元に釧路市などの協力を得て飼育・繁殖させたものが、
現在では8羽ほどになっている。



 「タンチョウ」は、国の特別天然記念物に指定されている鳥だ。
その飛ぶ姿、立居も優雅で、そんな姿から瑞鳥とされていて、園では毎年正月に
この放鳥があり、大勢の人々で賑わう。



 郭沫若氏が「戦災で失った・・・」と寂しがった岡山城は、昭和41年に鉄筋コンク
リート造りで再建された。更に天守屋根の鯱は、金色に輝いていたと伝わる史料
に基づいて、築城400年を記念した平成8年に金箔が施された。



 黒漆塗りの下見板が特徴的な岡山城は、その色から「烏城(うじょう)」と呼ばれ
ていたが、今では「金烏城」と呼ばれるようになった。

 今年のお正月もそんな城を背に「タンチョウ」は、冬枯れの芝生の上を、池の上を、
そして人々の目の前を優美に優雅に舞っていた。(続)


  

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