簾 満月「バスの助手席」

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国境伝説(JR乗り潰し・本四備讃線)

2022-05-27 | Weblog
 本四備讃線の瀬戸大橋は、最初のつり橋「下津井瀬戸大橋」を渡ると
すぐに岡山県境を超え、香川県に入る。
意外に思えるが、ここに架かる各大橋のほとんどが香川県に属している。
そんな国境には、こんな面白い言い伝えが残されている。



 昔から、何時の時代でもその国の境は、争いの種に成っていた。
川でも有れば判りやすいし、堅い地面の上なら棒切れで線を引き、柵を
回らし、或は土塁を築き「ここから内は我が領土なり」と、宣言すれば
言った者勝ちで、時に戦を仕掛け力ずくでそれを押し出したりもする。



 備前と讃岐の国は、瀬戸内海を挟んで向かい合っていて、昔からその
境は曖昧模糊として生臭く、きな臭い話が付きまとっていた。
土の上なら兎も角、これが海の上ともなると中々線引きは難しく、その
境は明確に判別できず、何れのものなのかも判らず一向に埒が明かない。



 「そろそろ、決着をつける時ぞ・・」
 「オゥヨ! して、どうやってするのじゃ」
 「樽じゃ、樽を流すのじゃ」



 こんな会話が有ったかどうかは知らないが、両藩は樽を持って瀬戸内
海に舟でこぎ出し、お互いが立会いのもと樽を流し国境を明らかにしよ
うとした。
 事前の試みで、四国寄りを流れると知っていた児島に住む知恵者の名
主の企みで、この「樽流し」を提案、樽の流れた軌跡で国の境を決めよ
うと呼びかけたのだ。
 ところがどうしたことか、その日に限って樽は、まるで備前の海岸線
に沿うように流れてしまったのだ。



 「エッ、マジデー、ウッソー」、絶句する備前。
「潮の流れは時として変わるものよ」、ほくそ笑む讃岐。
「ソンナァー・・・・」、落胆する名主。

 こうして備前と讃岐の国境は決められたそうな。メデタシ、メデタシ。
(JR乗潰しの旅 本四備讃線 完)





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