簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

その手は桑名の焼き蛤(東海道歩き旅・伊勢の国)

2023-01-16 | Weblog
 桑名市は三重県の北部、木曽三川の河口部に有り、伊勢平野に開け愛
知県や岐阜県と接する市である。
名古屋との距離が25㎞と近く、中京圏を構成する市は、名古屋のベッド
タウンとして発展してきた。



 ナガシマスパーランドや旧東海道・七里の渡し跡、多度大社など豊富
な観光資源に訪れる人も多い。それを支えるのがJR東海の関西本線と近
鉄の名古屋本線で、両者は競合関係に有り、お互い切磋琢磨しながら動
脈を支えている。



 桑名と言えば昔から焼きハマグリが名物として知られた土地柄だ。
「東海木曽両道中懐宝図鑑(宮―桑名)」では、「蛤白魚貝合の貝も
ここより出る」と紹介している。

 洒落言葉にも、その手は喰わないこと、美味いことを言っても欺され
ないことを「その手は桑名の焼き蛤」という。
既に江戸時代には、町民の間でも頻りに使われていたらしい。



 このような有名な食文化も、今日に到るまで観光を支えている。
昔は宿場内の茶店などでは、上陸し舟旅の疲れを癒やす旅人や、舟を待
つ人々などに盛んに蛤やシロウオが提供されていたようだ。

 当地に到着した弥次さん喜多さんも、枯れ松葉や松笠で燻し焼きにし
た殻付きの蛤を肴に酒を飲んでいる。



 蛤は、歴代の将軍にも献上されたという。
歴史有る伊勢湾の恵みも、乱獲か海の汚れか、近年ではその生産量は激
減し、一時は絶滅の危機などと言われていた。
最近では、地道な稚貝の放流などで、少しずつ回復傾向にあり、復活が
待たれている。



 今日桑名の町中で見かけるのは、佃煮の「しぐれ蛤」が多いようだ。
それでも所々には、「蛤」「焼きハマグリ」の看板や暖簾を掲げる食事
処などもあるが、高級感が否めない。
庶民の口にも気軽に入る日が、待たれている。(続)





にほんブログ村 旅行ブログへにほんブログ村

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 薩摩義士の墓(東海道歩き旅... | トップ | 桑名宿(東海道歩き旅・伊勢... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事