簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

畳表の早島 (JR乗り潰しの旅・宇野線)

2019-01-16 | Weblog

 早島駅の裏、道路脇の広々とした田圃の中に「畳表の早島」と書かれた
大きな看板が立っている。
ここ早島は、かつてはい草の産地、畳表の生産地として知られて処である。





 駅を降りると右手正面に「早島町観光センター」が有る。
町内に有った古い蔵を解体した廃材を再利用し建てられた施設で、内部には
観光案内所を始め、い草製品の展示即売所、パン作り工房、喫茶店などが併
設されている。

 その昔この地は、吉備の穴海と呼ばれる、入り込んだ瀬戸内海に浮かぶ島で
あったが、近くを流れる岡山県三大河川の一つ・高梁川の運ぶ土砂で、次第に
埋め立てられ、やがては陸続きになったところだ。



 その後戦国大名宇喜多秀家による大規模な干拓で、広大な大地が生まれた。
当時汐止めとして築かれた堤は、「宇喜多堤」と言われ、その後の干拓事業の
先駆けとなった。その起点が町内の龍神社あたりだと言われている。



 江戸時代になると人々はい草を植え、やがてそれは「早島表」と呼ばれる畳
表に加工され、町の主要な産業として発展を遂げてきた。
そんな当時の、繁栄の様子は「いかしの舎」で偲ぶことが出来る。
ここは畳表・経糸の問屋であった旧寺山家の明治期に建てられた町屋を改修し
た施設で、内部が公開されている。



 町の発展と共に、ここは金比羅参詣の街道筋としてもにぎわった歴史が有り、
町中には「不老のみち」として遥かな時を偲ぶ散策路も整備されている。
かつては、い草の香に包まれた町だ。町を歩けばどこからか、織機の響きが聞
こえてくるかもしれない。(続)



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