旧下津井電鉄は、茶屋町と児島間が昭和47年に廃止され、さらに平成2年には
残っていた児島下津井間が廃止され、完全に電鉄事業から撤退することとなった。
その廃線跡の殆どは倉敷市に払い下げられ、市はその廃線跡を自転車・歩行者専用
道路として、茶屋町と児島の間は「花の風の道」、ここ児島から下津井の間は「緑
の風の道」として整備をして来た。
その「緑の風の道」の起点となるのが「旧児島駅」である。


元々は大正橋近くに造られた味野町駅としてスタートしその後味野に改称され、
児島を名乗るのは昭和31年以降のことで、この間駅は何度も移転し、現在の地に
駅舎が完成したのは昭和63年のことだと言う。


駅舎は明り取りの有る大きな蒲鉾状の屋根を持ち、正面外壁はガラスなどを
多用した明るい外見が印象的な建物である。
廃線後は一時旅行センターの営業所が有り、構内がギャラリースペースとして
利用されていたこともあり、プラットホームとは別に、木製のデッキが作られ
ていて、丁度それが、残された道床やプラットホームを見下ろす展望所的な役
割を果たしているようだ。


旧下津井電鉄で唯一駅舎が残されているのはこの駅だけである。
内部には駅名標や時刻表、運賃表など当時の備品などが廃止当時のまま残され
ている。貴重な駅舎である「旧児島駅」は普段はシャッターが占められている。
開放され内部の見学ができ、駅舎内の通り抜けが出来るのは、金・土・日曜日
および祝祭日の午前8時30分から午後5時までである。それ以外はすぐ北側の市
道を通ることになる。(続)
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