邦画ブラボー

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「叛乱」

2006年03月01日 | ★人生色々な映画
二・二六事件を扱った作品。

極めてぶっ飛びました。

映画は昭和10年夏、
いきなり皇道派の相沢中佐が
陸軍省の幹部を斬殺する場面から始まる。

緊迫した幕開けから
このまま二月へなだれ込むのかと思いきや,
意外にも
時は飛び、決起後の陸軍刑務所内での将校たちが映し出される。

収監された彼らの回想で事件のあらましが語られるという構成。

相沢に続けとばかりに磯部浅一(山形勲)ら青年将校は気を逸らせる。
北一輝(鶴丸睦彦)、西田税、山口大尉らは彼らを抑えるが、
どうにも止まらないところまで来てしまう。

慎重派の安藤大尉が腹を決め盛り上がる将校たち。
彼らの下には千数百名の部下がいた。

山形勲がダンプのような熱血の志士を力強く演じれば、
阿部徹、丹波哲郎らもその目に一点の曇りもない、
筋金入りの皇道派将校を演じて真に迫っていた。
鶴田浩二はちょい役(中村上等兵)。

が、一番印象深いのは
最後に同士に加わった安藤大尉(細川俊夫) だった。
この知性的でありながら火のように熱い安藤を見た後は
三浦友和(「226」)の安藤は向こうのお山まで吹っ飛ぶ。

警視庁の副総監を演じた
宮口精二の男泣きにはまいりました。

また、雪の中の集合、突入場面のバックに響く
早坂文雄の厳めしい音楽が身震いするような効果を生んでいる。

この映画では226事件のメカニズムが解析されている。
真実は異なるという方も当然いるだろう。
真偽は定かではないが、謎の多い
事件の核を描こうとしていて衝撃的だ。

たった三日の間に彼らの呼び名も 
26日:決起部隊 →27日:占拠部隊 →28日:騒擾部隊
と変わっていく。

ラストの処刑場面は正視に耐え難い。台詞がリアル。

監督は佐分利信だったそうだが
途中で体調を崩し阿部豊監督と交代したとか。

西田税は佐々木孝丸が佐分利信の代わりに演じたようです。


五社版と異なり
女性は二人だけ。(津島恵子・香川京子)おっと、木暮実千代も!

1954年  佐分利信監督作品 
原作 立野信之 脚本 菊島隆三: 撮影:小原譲治
音楽 : 早坂文雄 美術 : 松山崇

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