邦画ブラボー

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「人間」

2006年03月17日 | ★恐怖!な映画
なんとも大変なものを見てしもうた~
金比羅さまにお参りせにゃいけん~~(殿山泰司の真似のつもり)

新藤兼人の映画はおっかなびっくりで見ることが多い。
目をそむけたくなるような人間の暗い部分を
これでもかと濃厚に描くからだ。

綿密に練られた脚本で物語に引きずり込まれ、
エネルギッシュな演出で釘付けにされる。
恐ろしいほどの執念に押し捲られる。
原作は野上彌生子の「海神丸」

登場人物はほとんど四人だけ。
嵐にあい難破した船の中。
限られた食料も底をついた生き地獄で
人間たちはどのようになってしまうのか・・・

刻一刻と弱っていく中で、慈悲深い船長殿山泰司
わがままで荒っぽい佐藤慶
か弱い青年山本圭、粗野な女乙羽信子の本性がむき出しになっていく。

暗澹たる場面を救うのは軽快なモダンジャズの調べだ。
これってジャズ好きの殿山泰司のアイディア?・・なんて思ってしまった。
この音楽がなければ見ているほうもどうにかなってしまいそうだ。

それと、殿山泰司の存在が無くても駄目だ。
この船長が三国連太郎だったら・・・
(シリアスすぎて)考えただけでも恐ろしい。

人間とはいったい・・人間っていったい・・・
タイトルはずばり「人間」。

人間であることを捨て、鬼になったのち、
良心の呵責に責めさいなまれるというテーマは
「鬼婆」でも描かれている。

最初から最後まで目が離せないが、特に終盤の展開が圧倒的。

1962年 新藤兼人監督 原作:野上彌生子
脚色:新藤兼人 撮影:黒田清巳 音楽:林光 美術:新藤兼人 

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