邦画ブラボー

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成瀬:「妻として女として」

2005年10月25日 | ★人生色々な映画
裕福そうな家庭。
少年(大沢健三郎)が風呂に入りながら
「じんじろげやじんじろげ~」と、大声で歌い
お年頃のお嬢さん(星由里子)は母親に洋服をねだる。

お父さん(森雅之)は大学の講師、
お母さん(淡島千景)は良妻賢母・・
家族が揃った居間にお手伝いさんがお茶を運んでくる。
なんとまあ幸せを絵に描いたような家族だろうなあ・・
と、思ったら!

なんとお父さんには、お母さん公認の愛人(高峰秀子)がいたのです!

それにすごい秘密もあった!

高峰と元芸者の祖母(飯田蝶子)の
やり取りがめちゃめちゃ楽しい。
小唄で問いかけ、小唄で返す。
二人の会話が粋で、
地でやっているのではないかと思うような自然さ、間の良さだ。

森雅之をはさみ、
淡島千景と高峰秀子が真正面からぶつかる、
すごい場面もみられる。
森雅之は
終始うつむき加減でダメダメ男の抑えた演技。

そりゃそうだわな~と思う話の展開。
戦争という時代背景があるにせよ・・
男って、
大人ってウソツキなんだから!

本妻、愛人、共に一貫して和服だ。
着物好きとしてはそんなところもうれしく見た。
特に高峰はバーのマダム役なのにケバケバしくなく
地味にもみえる着物(帯あわせが素敵)をとっかえひっかえ着て
楽しませてくれる。
「女が階段を上る時」でも
自身のセレクトそうだが、これもそうなのでは?

セット、衣裳などによる画面の色彩配分の良さを感じた。

と、ここまで書いていて気がついたが、
これは成瀬監督には珍しいカラー映画です。

後味のいい、鮮やかなラストにもやられた。

1961年 成瀬巳喜男監督作品 脚本 : 井手俊郎 / 松山善三 撮影 安本淳 美術 中古智

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