邦画ブラボー

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豊川悦司版「太宰治物語」

2005年10月11日 | ★人生色々な映画
TBSドラマ「太宰治物語」を見た。
「明るい太宰」だというキャッチフレーズだったが
ちっとも明るくなかった。

だが着流しでふらふら歩く豊悦の姿を見て
「これは面白いかも!」と思った私の勘は当たった。

子供や妻や女の側にいても
気持ちは常にどこか別の場所にいる孤独の天才。

あの甘ったるい声で語られる
「富士には月見草が良く似合う・・」などの朗読に
幻想が錯綜し、入り混じる構成、
ストップモーションによるイメージの錯乱。

豊川のアンニュイなたたずまいもさることながら、
その演技もまた
「小説を書くことのみが真実である男」
太宰という複雑な人格の内面を表して秀逸だった。

妻役の寺島しのぶは、
心にじんと染み込むような存在感があった。

以前見た
役所広司版は、実生活は矛盾に満ちているのに
文章では綺麗ごとを並べる破滅型で狂気を帯びた太宰で、
これもまた見事だった。

少し前は太宰というと、
青春期に一度はかかる病の代名詞のように言われていたが
今は尾崎豊は歌っても
太宰文学にのめりこむ若者がどれだけいるのか疑問???

青春時代をはるか過ぎてもう一度
このひねくれ文豪の作品を読みたくなっている自分がいる。

豊川悦司の朗読が、とてもよかったので。

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