邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「大奥」が始まった

2005年10月14日 | ★TV番組
なぜ大奥ものが女をひきつけるか・・・
華麗な衣装、濃くて美しい登場人物たちのガチンコ勝負。
魑魅魍魎跋扈。悲恋もある。

女の見たいものがつまっているのですね。

今回は「役者がそろっとるのお」と言う豪華な顔ぶれ。

藤原紀香は関西出身が台詞にいきていた。
”敵討ち”内山理名にも感情移入できそうだし
江波杏子はいるだけでカンロク。
北村一輝
口元が相変わらずゆがんで、悪役定着。
上様は人気の谷原章介

小池栄子の悪役顔には誰もがびっくり!だろう。

その中でも筆者好みはナレーションもかねている余貴美子
一言も発しないのに存在感ありあり。
謎めいて魅力的だ。

男性の俳優さんがヤクザ映画に出ると
妙に生き生きして見えるのと同じく、
大奥ものを演じる女優さんは一段と光り輝いて見える。

*「大奥」華の乱公式サイト

■人気ブログランキングへ
よろしかったらお願いいたします

無名塾+民藝公演「ドライビング・ミス・ディジー」

2005年10月12日 | ★人生色々な映画
無名塾+民藝の「ドライビング・ミス・ディジー」を観た。

ジェシカ・タンディ、モーガン・フリーマンが主演した
映画も見ているが
今回は
劇団民藝の奈良岡朋子と仲代達矢という組み合わせの芝居だ。

奈良岡朋子さんというと、
理知的で冷たい女性の役のイメージがあって
気難しいユダヤ人のミス・ディジーには
ピッタリだと思っていた。

ダブルキャストの息子役、千葉茂則、
長森雅人を入れて登場人物は三人だけだが
ちっとも退屈させないテンポのよさ。

ワンシーン、ワンシーンのカットが短く展開が速い。
舞台装置もシンプルで
デイジー宅は花模様のソファだけ。息子宅は電話。
あとは二人が乗る自動車の運転席とバックシートのセットのみ。

それだけなのに
あたかも車の窓から日曜の教会が見えたり、
夜のハイウェイを延々走っているように思えるのは
二人の上手い芝居のなせるわざだ。

仲代さんはどこからみてもアトランタから一歩も出たことがない
黒人のホークだった。

ユダヤ人と黒人の使用人。
最初はぎくしゃくしていた関係が
だんだんとうちとけ、深い絆が出来ていくさまが感動的で
映画とはまた違う温かみが出ていたように思う。
ユーモアの味付けもバッチリで
名演技のぶつかり合い、
溶け込み具合の妙を堪能。
ハンカチで目を押さえる人も続出の芸術劇場。

芝居が終わり
真っ赤なジャケットに着替えた奈良岡さんと
若々しいダンガリーシャツをはおった仲代さんがカーテンコールに現れるや、
満場の拍手が降り注いでいた。

そのとき、斜め前の席にいた篠田三郎さんに気がついた私は
そのダンディな姿に釘付けになっていた。

*「ドライビング・ミス・ディジー」:公演の詳細はこちら

■人気ブログランキングへ
よろしかったらお願いいたします



豊川悦司版「太宰治物語」

2005年10月11日 | ★人生色々な映画
TBSドラマ「太宰治物語」を見た。
「明るい太宰」だというキャッチフレーズだったが
ちっとも明るくなかった。

だが着流しでふらふら歩く豊悦の姿を見て
「これは面白いかも!」と思った私の勘は当たった。

子供や妻や女の側にいても
気持ちは常にどこか別の場所にいる孤独の天才。

あの甘ったるい声で語られる
「富士には月見草が良く似合う・・」などの朗読に
幻想が錯綜し、入り混じる構成、
ストップモーションによるイメージの錯乱。

豊川のアンニュイなたたずまいもさることながら、
その演技もまた
「小説を書くことのみが真実である男」
太宰という複雑な人格の内面を表して秀逸だった。

妻役の寺島しのぶは、
心にじんと染み込むような存在感があった。

以前見た
役所広司版は、実生活は矛盾に満ちているのに
文章では綺麗ごとを並べる破滅型で狂気を帯びた太宰で、
これもまた見事だった。

少し前は太宰というと、
青春期に一度はかかる病の代名詞のように言われていたが
今は尾崎豊は歌っても
太宰文学にのめりこむ若者がどれだけいるのか疑問???

青春時代をはるか過ぎてもう一度
このひねくれ文豪の作品を読みたくなっている自分がいる。

豊川悦司の朗読が、とてもよかったので。

■人気ブログランキングへ
よろしかったらお願いいたします


成瀬「夫婦」

2005年10月09日 | ★人生色々な映画
仲睦まじい若い夫婦の間に
小さなつむじ風が巻き起こる。

同僚(三國連太郎)の家に間借りすることになる上原謙と杉葉子。
妻を亡くしたばかりの三國は
夫ばかりか自分にまで
かいがいしく世話を焼いてくれる杉に淡い恋心を抱くが・・・

暮れから正月が明けるまでの季節感が
そこここに盛り込まれている。

「クリスマスの夜」の高揚感も上手く取り入れられて
物語の洒落たポイントになっている。

夫婦の間にすっぽりはまってしまう屈託のない、
どこかとぼけた味のある男は
三國連太郎だからこそ嫌味なく見られるのだと思う。

どてらもよく似合う。

また、最初は原節子が演じる予定だったという
杉葉子演じる細君も、
原だったらこんなにさらりとした感触の作品になったかは疑問だ。

成瀬監督は配役のセンスにも長けていたのだと思う。
上原謙も成瀬作品の中では生き生きしているようだ。
適材適所と言う言葉が浮かぶ。

まだアパートなどが乱立していなかった時代。
一軒家の間借りはこの時代、よく見られたのだろうか。

くすりと笑ってしまうユーモアも散りばめられ、
後味も爽やかな佳作。

1953年  成瀬巳喜男 監督作品
脚本 水木洋子 井手俊郎 撮影 中井朝一 音楽 斎藤一郎 美術 松山崇

■人気ブログランキングへ
よろしかったらお願いいたします


成瀬の「女の中にいる他人」

2005年10月05日 | ★人生色々な映画
最初から犯人がわかっている構成で
平穏な生活の中でいつ恐ろしい秘密が露呈するのかと
一瞬も目が離せない。

成瀬作品には珍しいサスペンス仕立て。

小林桂樹の苦悩に満ちた心理描写もさることながら
新珠三千代の表情の豊かさ、
告白を受けてからの鬼気迫る演技にはたまげた。
夫が殺人を犯したと知った時
妻はいったいどう出るか?

コキュの三橋達也が渋い。
日本人には珍しくスーツ(ワイシャツ)が似合う人だなと
関係ないところでも感心した。

浮気相手の若林映子(ボンドガール)の色っぽさにもまいった。
典型的な60年代風美女。

窓の外に降り続ける雨、瑞々しい緑をたたえた庭、雨上がりの舗道。
ロケやセットも空気がにおい立つようで素晴らしい。

1966年 成瀬巳喜男監督作品 脚本 井出俊郎 美術 中古智 撮影 福沢康道
■人気ブログランキングへ
よろしかったらお願いいたします