邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「美徳のよろめき」

2006年11月28日 | ★愛!の映画
月丘夢路主演の不倫奥様もの。

原作は三島由紀夫のベストセラー小説で、
当時「よろめき」という言葉が流行語になったそうだ。

華族出身のお嬢様、節子(月丘夢路)は
実業家で金はあるが品が無い夫(三国連太郎)に辟易していた。
夫は仕事に夢中で妻に無関心、そんな暮らしに物足りなさを感じ始めた矢先!
昔の恋人(葉山良二)にばったり会ってしまう。

どこか浮世離れした「お嬢さん奥さん」は
銀幕のスター月丘夢路のイメージに
ぴったり。

「奥様、お洗濯やさんが来ました。」
「洗濯やさんに“お”をつけるのはお止めなさい」
美しい口からこぼれる美しい言葉、そして
立ち居振る舞いから匂ってくる気品がたまらない。

奥様が恋に落ちた揺れ動く心情を、
流麗なペン字でしたためた日記
今なら「ブログ」になるのだろうが、
思わず微笑んでしまうくらいに乙女チックな内容だ。

脚本は新藤兼人なんですよね。

全体に漂うそこはかとないユーモアが絶妙な塩梅。

友人のマダム、与志子(宮城千賀子)は
暇をもてあまし不倫ゲームにいそしんでいるが、
その相手というのが安部徹なのである。
見るからに絶倫・粗暴な男とマダムな与志子の関係が可笑しい。

鋭敏な?指先を持つ指圧師(西村晃)、
とっても胡散臭い産婦人科医(北林谷栄)等
脇役使いも秀逸で
中平康監督の洗練された
お洒落なエッセンスが散りばめられている。

お洒落といえば、月丘夢路が次々と変える着物にも目を見張ってしまう。
洋服風にウエストを絞った色っぽい着付けで、
大胆な抽象柄のやわらかい着物を着ている。
なんとそれに長い髪を下ろし耳にはイヤリングである!!
これは「よろめきファッション」なのであろうか??!
当時の女性はこの着方を真似したのかどうだろうか、激しく興味がわく。
月丘夢路だから似合うような気もする大胆な着装だ。

友人役の宮城千賀子は最新の洋装で、
まるでヴォーグのモデルのように優雅である。

肉体と精神のあいだでゆらぐ奥様の内面を官能的に描いているが
繰り返し出てくる「接吻シーン」が
たいへんエロティックで新鮮だった。
三島邸によく似た洋館が舞台だ。三島はこの映画に満足しただろうか?

そうそう、それと、三国連太郎ってとても男前だったんですね。

*この映画の教訓:火遊びの相手に顔が恐すぎる男を選ぶのはやめよう

1957年
監督 ................  中平康
助監督 ................  西村昭五郎
脚本 ................  新藤兼人
原作 ................  三島由紀夫
撮影 ................  岩佐一泉
音楽 ................  黛敏郎
美術 ................  松山崇

*映画の中のイイおんな*
月丘夢路:元宝塚出身。麗人という言葉がふさわしい人。
どこか現実離れした美しさです。特に宝石のようにきらきら輝く瞳にうっとり。
美しいおみ脚を拝むことも出来てその美しさに夢心地!
旦那様は井上梅次監督、ひとり娘は料理研究家の
井上絵美さん。(お母様に似てとても美人である)

宮城千賀子:着物姿の姐さん・・というイメージを持っていたのですが
この映画ではパリジェンヌのような着こなしでびっくり!
スタイル抜群なのにも驚いた!色っぽくてすごくカッコイイです。
ヘップバーンのような長いシガレットホルダーが似合う

ブログランキングへオネガイシマス

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まさに傾城の美女 (さすらい日乗)
2006-11-29 07:07:25
傾城の美女という言葉があるが、月丘夢路はまさにぴったりだと思う。
有馬稲子と、月丘の二人が日本映画史上最高の美女だと思っている。
それに、二人とも結構芝居も上手い。
演技を評価されないのは、一種のやっかみである。
返信する
ほんとうの美人 (ブラボー)
2006-11-29 09:37:52
傾城の美女、いい言葉ですね。

ぴったりだと思います。
「美人」というのは
ああいう方なのだと思います。
そうなると、
なかなか本当の美人っていませんね。

お風呂場に入るシーンで脚だけ写りましたが
それも「ぴかぴか」でした。
身のこなしも実にエレガント!

お二人共大好きで
思わず見とれてしまいます。
演技もほんとに上手いですよねえ~~~~
返信する
美女ですか! (こきら)
2006-11-30 09:22:55
さすがに皆さん とてもよくご存知ですね~月丘さんとか、宮城さんて名前は知ってますが、顔までは・・・私の中の美女は、藤村志保さんですね、やっぱり!凛とした風情が なんともステキで大好きです。安部徹さんの 歯をむきだしてグハハハと笑う演技いいですね!神田隆さんと似たタイプで、楽しい悪役さんで、好きです!楽しめる悪役さんて、画面に映るだけで見ているほうも楽しくなりますよね
返信する
志保さん (ブラボー)
2006-11-30 11:55:03
藤村志保さん、日本的な美女ですよね。
雰囲気がず~~っと変わらないのも
すごいですよね。藤色のお着物が似合いそうな・・

安部徹さんってなんか、憎めないっていうか
そこはかとなく可笑しくて
私も好きです!

こきらさんのコメントを読んで
神田隆さんのプロフィールを調べてみたら
東大仏文科卒業なんですね。
なんとも味わいのある悪役さんですねえ。
返信する

コメントを投稿