邦画ブラボー

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「妹」

2007年08月17日 | ★愛!の映画
秋吉久美子、
今あらためて見るとその存在、
たたずまいそのものがひとつの時代を感じさせる女優さんだ。

梶芽衣子、浅野温子、桃井かおり、伊佐山ひろ子、
田中美佐子、高沢順子、森下愛子、片桐夕子、赤座美代子
敏八映画で輝いた女優さんは数え切れない。

あどけない童女のような表情で甘えたかと思うと
淋しげな横顔を見せたり。
ふわふわ漂っているかのようでスリリング。
たぐいまれな素材を得て
浴衣を着せたり、フリフリフリルのワンピースを着せたり、
花嫁衣裳を着せたり
挙句は尼さん姿にしたりとコスプレ三昧。

愛おしさに思わずぎゅっと抱きしめたくても
するりと逃げていきそうな、女の子。

姉妹を持たない男性の心を激しく揺さぶったに違いない。
こんな妹がいたら幸せかもね~~男性は。

でも
風呂上りに真っ裸で
成人したお兄ちゃん(林隆三)の前に現れる妹がいるわけないじゃんと
女から見たら思うのであるが。
兄貴も兄貴でまんざらでも無い様子。

この兄妹変だよね。
そう、これはメルヘンなのだ。
南こうせつの歌はベタすぎるけど。

嫁に行ったはずの妹がひょっこり一人暮らしの兄の元へ帰ってくる。
仲睦まじい兄と妹の暮らしが始まるが、
妹には秘密があった。

原宿の表参道などロケがふんだんに盛り込まれ、
当時の風俗がよくわかる。
懐かしい~~俺写ってるかもと思わず身を乗り出す方もおられるのでは?

伊丹十三は高等遊民的なへんてこな役が良く似合う。
深刻な場面にコミカルな音楽が流れていたりするなど、巧みに
「はずす」敏八センスが堪能できた。

異性の兄妹、姉妹を持たないものには
それらを持つことに憧れがある。
というのは私の思い込みであろうか。

私の潜在意識の中には
幼い弟を亡くした、弟喪失のトラウマがあるらしい。
その証拠?に市川崑 監督の「おとうと」が未だに愛しすぎて見られない!

また、小学生の頃は兄が欲しいと言っては母親を困らせたものである。
当時高校生1年と2年のイケメン兄を持つ友達がいて、
私は彼女を激しくうらやんでいたが、
その兄貴たちはめっぽう仲が悪く、
「喧嘩すると二階から鉄瓶!を投げ落としたり
バットで殴りあうのよ~あんなのいらないからいつでもあげる。」
などと言うのを聞いてからは
兄貴願望はさっぱり消えたのであります。

妹、姉さん、兄貴、弟。

書いてみるだけでも胸がきゅんとなるのであるが
持ってる人にとってはお笑いかもしれない。

この秋吉久美子は「永遠の妹」に違いないけどね。

1974年 監督 藤田敏八 脚本 内田栄一 撮影 萩原憲治
音楽 木田高介 美術 横尾嘉良

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