邦画ブラボー

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「国定忠治」

2005年05月27日 | ★ぐっとくる時代劇
桃屋の江戸むらさきのCMでもおなじみだった
国定忠治は実在の人物だった。

「赤城の山も今宵限り・・可愛い子分のてめえたちとも、別れ別れになる門出だ・・」
よっ!待ってましたっ!
CMではそこでなぜか江戸むらさきの登場・・なんだけど、
この映画はのり平さんではなく、
片岡千恵蔵がこのせりふをたっぷりときかせてくれる。

時は江戸末期。
貧しい百姓たちが飢饉によって苦しむ暗い世相の元、
役人は私服を肥やし悪政三昧。
そこへ弱いものの味方国定忠治が現れ、悪代官を斬って赤城の山にこもり
あの台詞・・

現水戸黄門様、里見浩太郎が可愛い子分(板割の浅太郎・美形)を演じている。
その叔父、御室の勘助に月形龍之介。

史実ではどうあれ、国定忠治は昔から講談、芝居、、浪曲、映画の中に
弱いものを助ける義賊として描かれている。
人情深く、子分思いで、悪いやつらは容赦しない。

歌舞伎の見得に近いオーバーなきめ台詞がびしりと決まるのは
千恵蔵の貫禄によるものだろう。
独特の抑揚、独特の息継ぎによる台詞回しは
聞くものの気分をイヤというほど高揚させてくれる。
(立ち回りにかぶさるドンドコ太鼓も盛り上がりに拍車をかける)

先日進藤英太郎の作品が見たいと書いていたらここで見られた!
忠治に恫喝されびびる腹黒い親分(山形屋)役。
どてらが似合っておられました。
進藤の女房には杉村春子。威勢のいい啖呵が心地よい。
堺俊二(堺正章の父)がちょろちょろ現れ、きっちり笑わせてくれる。

「俺にはしょうげえ(生涯)おめえという、強い味方があったのだ!」

愛刀・小松五郎義兼をかかげて言うこの名台詞には背筋がゾクゾクした。
幼いころに行っていた映画館では
いい場面に差し掛かると、拍手が沸き起こっていた。
映画が大衆の娯楽だった時代。娯楽作がたくさん作られた時代。

今、ひとりで見ながら拍手しています。

ふと、「たそがれ清兵衛」や「隠し剣鬼の爪」が公開された時、
客席の年齢層がとても高かったことを思い出した。
「隠し剣・・」の時など、たぶん私が最年少!だった!

最近映画館に各種割引制度が取り入れられるようになったのはすごく嬉しいけど、
幅広い年代のニーズに答える映画をもっともっと製作、上映してほしいものだ。

1958年 小沢茂弘監督作品 東映

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