邦画ブラボー

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「非情都市」

2005年05月22日 | ★ハードボイルドな映画
ハードボイルド:(固ゆでの意から転じて、冷酷な、非情なの意)
・・第一次大戦後に、アメリカ文学に登場した新しい写実主義の手法。
簡潔な文体で現実をスピーディーに描くのが特徴。
また、
非情なこと。人情や感傷に動かされないで、
さめていること。また、そのさま。(大辞林)

これこそは日本のハードボイルド。

東都新聞社会部の三宅(三橋達也)は蛇のように執念深く、
エネルギッシュに事件を追う辣腕の「ブンヤ」だ。

その度胸のよさ、したたかさはやくざの幹部も舌を巻くほど。
自分が書いた記事が元で人が死のうが、
強引な取材を上司(稲葉義男 、東野英治郎)に非難されようが
いっこうにおかまいなし。
恋人(ものすごく綺麗な司葉子)をスパイに使うことすらもためらわない。

「俺には誰だろうがニュースにしか見えないのさ」

そして財界の大物を巻き込む大スキャンダルを追ううち、
イチかバチかの駆け引きに乗る・・・

逢沢譲のカメラが乾いた都会を映し出す。
新聞社の喧騒、ハイウェイを突っ走る車、大銀行のビルディング。
どきどきするような疾走感がある。

脚本は黒澤映画でもおなじみの井手雅人だ。
たたみかけるような台詞の応酬に引きずり込まれる。

ダーティな三宅と、三宅を取り巻く人物たちも魅力的。
司葉子の美貌には今更ながら驚くが、
クールなやくざ平田昭彦の凄み、中丸忠雄の貫禄も見ものだ。

いきつけの飲み屋のおやじ、上田吉二郎のたたずまい も
「映画の中のイイ味出してる飲み屋の親爺ベスト5」(勝手に作りました)に入ると思う。

「子供はひっこんでろ!」三宅がいうせりふにもあるように、
これは極上の大人の映画である。(ただし辛口)

昔、「事件記者」という大人気TVドラマがあったことも思い出した。


出演:三橋達也 司葉子 稲葉義男 東野英治郎 北沢彪 佐々木孝丸 平田昭彦
   中丸忠雄 松下猛夫 上田吉二郎

1960年 鈴木英夫 監督作品 脚本  井手雅人 原作 三田和夫  撮影 逢沢譲

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