Sightsong

自縄自縛日記

金時鐘『背中の地図』

2018-06-30 09:56:23 | 韓国・朝鮮

金時鐘『背中の地図』(河出書房新社、2018年)。

東日本大震災のあと、金時鐘はそのことを詩のかたちにしていた。

読んでいると、どうしても、金時鐘がごつごつとぶつかるように朗読する声が聴こえてくるようで、その速度で、言葉の数々を自分の中に放り込んでゆく。そこには巨大な自然の力を前にした、あるいは後にしての、呆然自失があり、また、地の底から沸きあがってくるような激しい怒りがある。

言葉とは怖ろしいものである。ひとつひとつにどきりとさせられる。「光の棘の祟り」。「天外の青い火」。人間に扱いきれない力を制御しようとしたことによるカタストロフについて、「眺めるだけの私」たる詩人が、棘のような言葉を紙に刻んでいる。

●金時鐘
金時鐘講演会「日本と朝鮮のはざまで」
金時鐘『朝鮮と日本に生きる』
金時鐘『境界の詩 猪飼野詩集/光州詩片』
細見和之『ディアスポラを生きる詩人 金時鐘』
『海鳴りの果てに~言葉・祈り・死者たち~』
『海鳴りのなかを~詩人・金時鐘の60年』
金石範、金時鐘『なぜ書きつづけてきたか なぜ沈黙してきたか 済州島四・三事件の記憶と文学』
仲里効『悲しき亜言語帯』(金時鐘への言及)
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