Sightsong

自縄自縛日記

長島と祝島(2) 練塀の島、祝島

2011-08-16 00:44:43 | 中国・四国

2011年8月7日、JR柳井港駅で下車、すぐそばの港からフェリー「いわい」に乗って祝島に向かった。途中の室津で、上関町議の清水敏保さんと合流する。祝島のご出身、上関町議会では12人の議員のうち祝島出身の2人を含む3人が原発に反対している。そのひとりであり、那須圭子『中電さん、さようなら』(創史社、2007年)という写真集を開くと、ところどころに登場する。

この3月に訪れた際には、無計画ゆえ上関に着いたとき既に午前の船が出てしまったあとだった。そのときは、仕方なく、上盛山(かみさかりやま)の展望台までのぼり、そこから祝島や他の多くの島々や、大分県の国東半島や、愛媛県の佐田岬を眺めたのだった。江戸期に入るまで、祝島は海上交通の要所であり、周防にも豊後にも伊予にも属していない島だったという。


乗船券ではなく上陸券


上関の「上」の旗、清水町議

上関町は、山口県の南東部から瀬戸内海に突き出した室津半島の南部、そこから上関大橋(昭和44年建設)でつながれた長島、長島の先に位置する祝島、さらに他の島々からなる。原発予定地は長島の先端部ながら、長島の港町は本土側にあるため、多くの住民からは見えない場所にある。むしろ、祝島の目の前に面するという立地である。上関町の人口は3500人、一方、祝島の人口は500人。多数決というおかしな原理が歪みを生み出す構造か。

ほどなくして祝島の港に着く。すぐに原発反対の看板や替え歌が目についた。2時間後の船で戻ることにしたため時間はあまりない。急ぎながら、清水さんの案内で、集落の中を歩きながら、高台の小学校を目指す。集落の様子と、海の向こう側の原発予定地を見るためである。


祝島の港 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


祝島の港 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


ふる里三題 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


小屋 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP

「NNNドキュメント'10」の枠で放送された『風の民、練塀の町』(2010/11/14、山口放送制作)は興味深いドキュメントだった。風が強い祝島では、家を守るため、大きめの石を積み上げた「練塀」(ねりへい)が独自に発達している。単なる塀ではなく、複数の家の一部を成していたりもする。かつて農業を祝島にもたらした国東半島にも一見同様の塀があるものの、それは家の補強にすぎず、類似性に乏しい。どうやら練塀のルーツは、韓国の済州島にあるというのだった。

確かに練塀だらけだ。ひとつひとつに個性がある。最近は保存のため補強もしているようで、セメントや漆喰で固められていた。

道を知らないと迷子になってしまいそうだ。清水さんは、そんなときは海に向かえばいいのですよ、と笑った。


練塀 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


練塀 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


練塀 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


枕干し Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


井戸 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


練塀 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


練塀 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


井戸と自転車と消防ホース Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


練塀の路地 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP


練塀 Pentax MZ-S、FA 77mmF1.8 Limited、Velvia 100F、DP

(つづく)

●参照
○長島と祝島 >> リンク
○既視感のある暴力 山口県、上関町 >> リンク
○眼を向けると待ち構えている写真集 『中電さん、さようなら―山口県祝島 原発とたたかう島人の記録』 >> リンク


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