Sightsong

自縄自縛日記

井筒和幸『パッチギ!』

2014-12-22 06:36:34 | 韓国・朝鮮

遅ればせながら、井筒和幸『パッチギ!』(2005年)を観る。

1968年、京都。府立高校の松山は、朝鮮高校のキョンジャに一目惚れする。しかし、キョンジャの兄アンソンは、朝鮮高校の恐怖の番長だった。松山は何とかキョンジャに近づくため、ことばを覚え、当時発売が自粛となった「イムジン河」を練習する。一方、アンソンに息子が生まれて、彼は北朝鮮に帰ることをやめる(1959年からの帰国事業はまだ続いていたのだ)。そして朝鮮高校の友人が日本人との諍いのなかで死に、葬式に出た松山は、日本人であることを理由に、激しい拒絶に遭う。松山は、泣きながら、自分の幻想とギターを叩き壊す。

何といっても、おでこの広い沢尻エリカが可愛い。その後の『手紙』(2006年)、『クローズド・ノート』(2007年)も魅力的だったが、ここではさらに初々しい。このまま続けていたら大女優への階段を・・・いやまだ遅くない。(ところで松山役が塩谷瞬、アンソン役が高岡蒼佑と、皆その後スキャンダルの渦中の人になってしまった。)

まっすぐで良い映画。江東区枝川が舞台となる続編の『パッチギ!Love & Peace』(2007年)も、良い映画。井筒監督には第三弾を撮ってほしいがどうだろう。

なお、プロデューサーの李鳳宇は、親が済州島から密航し、大阪市生野区で育っている(『悲劇の島チェジュ』で語っている)。この映画でも何度も言及される南北朝鮮の分断は、プロデューサーが個人的に負う背景でもあった。

●参照
井筒和幸『パッチギ!Love & Peace』
枝川コリアンタウンの大喜
テッサ・モーリス=スズキ『北朝鮮へのエクソダス』
菊池嘉晃『北朝鮮帰国事業』、50年近く前のピースの空箱と色褪せた写真


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