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楽しめる世界観「ガソリン生活」by伊坂幸太郎

2017年03月26日 | 小説レビュー
~のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死!パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ…!?
車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、仲良し家族の冒険譚!愛すべきオフビート長編ミステリー。「BOOK」データベースより


いやぁ~オモシロかった!単純に楽しめた作品です。

伊坂さんの作品は、おしなべて素晴らしい作品ばかりですが、この「ガソリン生活」は伊佐テイスト満載でありながら、「『車』や『電車』など、人間に使われるアイテムが意思もって互いに会話をしていたら?」という奇想天外な設定です。

ピクサーの『カーズ』のような感じだと思ってください。

『カーズ』ほどの派手さは全く無く、日常生活の中にありふれた光景、普段自分たちが目にする車種が登場し、普段の生活の中でメディアを通じて遭遇する芸能人のゴシップ、学校でのいじめ、恐喝、盗難事件等々が、、主人公の望月家の人々と、その所有車・『緑のデミオ』の視点で描かれています。

読み終えた翌朝、犬の散歩をしながら、ふと、「我が家の愛車『緑のミラジーノ(緑ジーノと呼ぶべきか)」や、近所のガレージに止められている『黒のプリウス(黒プリ)』などが、人間には聞こえない周波で会話をしているうんちゃうの?」と思えて、微笑んでしまいました。

物語の展開自体は、それなりにスリリングな場面もあり、後半の伏線回収ぶりや、さわやなかエンディングなどは、「さすが伊坂さん!」と唸る内容です。

「好人物」、「好印象」などの言葉に置き換えると「好物語」と呼べる良い作品でした。

★★★☆3.5です。

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