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小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

まさにタイトル通り『望み』by雫井脩介

2018年12月19日 | 小説レビュー
~東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登と校正者の妻・貴代美。
二人は、高一の息子・規士と中三の娘・雅と共に、家族四人平和に暮らしていた。
規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが、二人は特別な注意を払っていなかった。
そんな夏休みが明けた9月のある週末。規士が2日経っても家に帰ってこず、連絡する途絶えてしまった。
心配していた矢先、息子の友人が複数人に殺害されたニュースを見て、二人は胸騒ぎを覚える。
行方不明は三人。そのうち犯人だと見られる逃走中の少年は二人。息子は犯人なのか、それとも…。
息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。揺れ動く父と母の思い―。
「BOOK」データベースより

十代の子どもを持つ親としては、身につまされる様な物語でした。

小説ですが、とてもリアリティに溢れていて、大げさなところがなく、読みやすかったです。 

大きな展開や、「あっ!」と驚く大どんでん返しがないのに、ずっと引き付けられっぱなしでした。

「もし、あなたの息子(娘)が殺人容疑で追われているとしたら・・・?」想像するだけでも恐ろしい話です。

現代のネット社会においては、間違った情報誘導によって、実際には犯人でなくても犯人として扱われるような世の中です。

もうそれだけで、個人情報が晒され、家族の実名も住所も何もかもが晒され、家族の被害は計り知れません。

『息子の無実を望む一登と、犯人であっても生きていて欲しいと望む貴代美。揺れ動く父と母の思い』とありますが、同じように妹の雅の心も揺れ動きます。

究極の選択というか、そのとき、心の秤がどちらに傾くのか、僕にもわかりません。

いずれにしても、なかなか読ませる小説でした。

★★★3つです。


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