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偉大な先人達に敬礼!『黄砂の籠城(上下巻)』by松岡圭祐

2020年07月21日 | 小説レビュー

黄砂の籠城(上下巻) by松岡圭祐 

~一九〇〇年春、砂塵舞う北京では外国人排斥を叫ぶ武装集団・義和団が勢力を増していた。暴徒化して教会を焼き討ち、外国公使館区域を包囲する義和団。足並み揃わぬ列強十一ヵ国を先導したのは、新任の駐在武官・柴五郎率いる日本だった。日本人の叡智と勇気を初めて世界が認めた、壮絶な闘いが今よみがえる。~上巻「BOOK」データベースより

~日本は世界の先陣を切って漢人キリスト教徒の救出を試みたが、清朝の西太后は宣戦布告を決断し、公使館区域からの24時間以内退去を通告する。沿岸部からの援軍も到着せず、二十万人の義和団と清国軍の前に四千人の外国人とキリスト教徒の命は風前の灯火となる。誇り高き日本人必読の歴史エンタテインメント。~下巻「BOOK」データベースより

 

『義和団事件』って聞いたことありますよね?歴史の授業で何となく朧げにキーワードだけ覚えていますが、どんな事件か全くわかりませんでした。

松岡圭祐氏の作品は初読だったんですが、文章がとても巧いですよね。義和団事件という凄惨な事件というか戦争について、史実に基づきながらフィクションを織り交ぜてドラマチックに演出してくれています。

主人公の桜井隆一伍長と柴五郎中佐がとても格好良くて、滅私奉公、任務遂行の為には自らの命を顧みず、人命救助や、最も危険な前線での戦闘・防御に尽くします。

籠城戦が始まった頃は、自分のメンツやエゴ、自国民のみを守ることに執心していた列強の公使や駐在武官なども、日本軍人の粛然とした振る舞いや不言実行の精神を目の当たりにして、次第に心を開き、ついには尊敬と羨望の眼差しで同調し、危機脱出の為に力を合わせて立ち向かいます。

物事がうまく運びすぎるのは小説ならではですが、緊迫感溢れるクライマックスから穏やかなエンディングに至るまで見事に終結してくれています。

日清戦争に勝利したとはいえ、欧米列強諸国からすれば、極東の島国に住む小さな存在でしかなかった日本人が、この義和団事件をきっかけとして、柴五郎中佐を筆頭に奮励努力した結果、世界に類を見ない素晴らしい民族として認知される偉大な出来事となった訳です。

柴五郎中佐

柴中佐を中心とする日本軍人の活躍を称えて、一緒に籠城戦を戦ったイギリス公使が以下のような談話を発表しています。

~籠城戦の総指揮官で後に初代駐日イギリス公使・大使となり、枢密顧問官となったサー・クロード・マックスウェル・マクドナルドは「日本人こそ最高の勇気と不屈の闘志、類稀なる知性と行動力を示した、素晴らしき英雄たちである。彼らのそうした民族的本質は国際社会の称賛に値するものであり、今後世界において重要な役割を担うと確信している。とりわけ日本の指揮官だった柴五郎陸軍砲兵中佐の冷静沈着にして頭脳明晰なリーダーシップ、彼に率いられた日本兵士らの忠誠心と勇敢さ、礼儀正しさは特筆に値する。十一か国のなかで、日本は真の意味での規範であり筆頭であった。私は日本人に対し、ここに深い敬意を示すものである。」と公式の場で表明しました。柴五郎、“コロネル・シバ”の名声は世界に知られるようになり、当時世界で最も有名な日本人と言われました。1902年にその後の日露戦争にも大きな影響があった日英同盟が締結されますが、マクドナルドを始めとしたイギリス人の日本人への高い評価が、日英同盟の大きな後押しとなったとされています。柴五郎にはそのような意図は全くなかったでしょうが、彼の行動は世界を変えました。

~群馬大学大学院医学系研究科 教授コラムより抜粋

現代を生きる我々としては、こんなに素晴らしい先達がいたことによって、現在の繁栄があることに感謝し、日本人として大切にしていかなければならにことを今一度見つめ直し、背筋を伸ばして、明日を生きたいと思います。

★★★☆3.5です。

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