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一気に読ませる空想科学小説『滅びの園』by恒川光太郎

2020年06月02日 | 小説レビュー

『滅びの園』by恒川光太郎

 

~一人の男の見る夢がすべての鍵を握る。滅亡に向かう世界。異才・恒川光太郎が幻視する残酷で美しい世界の終わり。「BOOK」データベースより

『夜市』に次いで、ホラーミステリーの鬼才・恒川光太郎氏の作品は二作目です。『夜市』も中々の小説でしたが、他の作品も概ね評価が高く、常に面白みのある作品を世に出されている作家さんですね。この作品も中々の面白さで、一気に読み終えました!最近アタリが多いので嬉しい限りです。

ストーリーですが、本の紹介欄を読むと、「突如天空に現れた<未知なるもの>。 世界で増殖する不定形生物プーニー。 抵抗値の低い者はプーニーを見るだけで倒れ、長く活動することはできない。 混迷を極める世界を救う可能性のある作戦は、ただ一つ――。」とのことで、全くどんなストーリーかわかりませんよね

時代設定は、ほぼ現代と同じようにも感じますし、近未来という設定にも思えます。

荒唐無稽なお話にも思えますが、読んでいて「はぁ?なんじゃこら!?」という風には全く感じません。むしろ「どうな展開になるんやろ?どんなラストを迎えるんやろ?」と、興味は尽きることなくクライマックスまで進みます。

そしてエンディングは少し物悲しい雰囲気の中、「そうなるのも致し方ないね」と納得の終わり方でした。

もともと、空想科学小説なので、細かいところに「?」と思うところが出てくるのはもちろんですし、辻褄あわせのご都合主義もあります。しかしながら物語の組み立て(キャラクターの立て方や章の繋ぎ方など)は巧みで、読ませてくれました。

色々な「?」を割り引いても、充分に楽しめた小説ですし、タイトルのつけ方も秀逸です。また恒川氏の別の作品も読んでみたくなりました。

 

★★★★4つです。


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