「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

同時通訳って大変!『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』by米原万里

2021年01月06日 | 小説レビュー

『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』by米原万里

~同時通訳者の頭の中って、一体どうなっているんだろう?異文化の摩擦点である同時通訳の現場は緊張に次ぐ緊張の連続。思わぬ事態が出来する。いかにピンチを切り抜け、とっさの機転をきかせるか。日本のロシア語通訳では史上最強と謳われる米原女史が、珍談・奇談、失敗談を交えつつ、同時通訳の内幕を初公開!「通訳」を徹底的に分析し、言語そのものの本質にも迫る、爆笑の大研究。「BOOK」データベースより

 

『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』by米原万里を読んで、「なかなか面白い作家さんやね」と思ったので、米原万里さんの作品で評価が高いものを図書館で借りました。

『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』というタイトルからして「恋愛の話とか?エッセイとかかなぁ?」と、思って読み始めましたら、全く違う内容で驚きました

海外のニュース映像とかで同時通訳の言葉が流れたり、海外のスターが来日した時の通訳の人の言葉などを聞いていても、漠然と「スゴいなぁ~」とか、感心することはありましたが、この本を読むと、「通訳って、こんなに大変な世界なんや」ということが良くわかります。

んで、タイトルの意味は、通訳する人がどれぐらい流暢に日本語を駆使して、どれぐらい正確かということを4段階で分けたという意味でした。

1番:貞淑な美女(発言者の意図を正確に理解し、響きも美しく文法もしっかりした日本語で通訳)

2番:不実な美女(発言者の意図をあまり反映していないが、美しい日本語で通訳)

3番:貞淑なブス(発言者の意図を正確に理解しているが、伝える日本語が下手くそ)

4番:不実なブス(発言者の意図を反映もせず、日本語も下手くそ)

ということですね。

実際に通訳士として仕事をされているプロの方なので、4番はほとんどいないとのことですが、逆に1番も本当に稀な存在というか、そういう場面には、まず出会えることが大変貴重であるというケースです。

得てして、2番か3番に集約されるとのことですが、これを様々なケースや実体験に基づいて、ユーモアたっぷりに解説してくれています。

今まで、それほど通訳の方に対しての思いというのは無かった私ですが、この本を読んで、あらためて、国際会議や首脳会談における通訳士の方の果たす役割というのは本当に大きいものがあるなと感心しました。

機械があれば、是非読んでみてください。

★★★3つです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿