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平和な日常に感謝『黒い雨』by井伏鱒二

2019年08月15日 | 小説レビュー
~一寸さきは地獄だぞ。焼け死ぬぞ。

一瞬の閃光に街は焼けくずれ、放射能の雨の中を人々はさまよい歩く……。罪なき広島市民が負った原爆の悲劇。その実相を精緻に描く名作。
一瞬の閃光に街は焼けくずれ、放射能の雨のなかを人々はさまよい歩く。原爆の広島――罪なき市民が負わねばならなかった未曾有の惨事を直視し、“黒い雨"にうたれただけで原爆病に蝕まれてゆく姪との忍苦と不安の日常を、無言のいたわりで包みながら、悲劇の実相を人間性の問題として鮮やかに描く。被爆という世紀の体験を、日常の暮らしの中に文学として定着させた記念碑的名作。「内容紹介」より


「死ぬまでに読んでおくべき名作100選」にも選ばれている名作です。

時まさに広島と長崎に原爆が投下された日に読んだのも、何かの巡り合わせかも知れません。

小学生の頃に図書室で読んだ絵本『ピカドン』の凄まじい絵が脳裏に甦りました。

閑間さんという主人公の目線で語られる被爆日誌が中心ですが、その周辺の方々の記憶や記録によって、様々な場所や立場における被爆の現実が生々しく綴られています。

井伏鱒二氏の文章が秀逸で、登場人物の間で語られる会話に、とても味わい深いものがありました。

あらためて、原子爆弾の非情な破壊力と、広島における惨状が胸に刻み込まれました。

平和であることの幸せに感謝し、水道の蛇口をひねれば水が出て、三度三度の温かいごはんが食べられる当たり前の毎日に感謝しなければなりません。

★★★☆3.5です。

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