~なにゆえかくも話が通じないのであろうか。丁重な文面であるのにもかかわらず、その文面のなかにときおり顔をのぞかせる強い調子、攻撃的な排他性のごときを改めて強く感じ、その根拠として彼らが標榜しているボランティアという概念について、普段そんなことについてまるで考えたことのなかった私が、この困惑を契機に深く考えるようになってしまったというのは、いったいいかなる因果・因縁であろうか(「地獄のボランティア」より)。芥川賞受賞第一作となった傑作小説集。「BOOK」データベースより
「ノンフィクション?エッセイ?それとも作り事?」と、まぁ本当のところはどうなのか?そんなことはどうでもいいのです!「町田康は素晴らしい」の一言に尽きます!
4つの短編が収められており、どれも楽しく読めます。というか「マーチダ氏は本当にお人良しで、気が弱くて、とてもいい人やね」とホノボノします。
このタイトルからして、「外道」という方々が大暴れするような、北野武のハードボイルド映画のようなものを想像するからもしれませんが、まったく違います!
でも外道な人達に翻弄されるマーチダ氏が中々可哀そうで大変な物語ばかりです。エッセイのようでありますが、まぁ実際にこれに近い体験を町田氏がされていることは間違いないと思います。本当にリアリティがあって、良くできたお話です。
特に、「地獄のボランティア」は本当にヒドい話ですし、「紐育外道の小島 1998年7月」の富山しゅず子女史が、その後どうなったのかとても心配です
町田康ファンなら、必読の一冊でしょう!
※ちなみに表紙のイケメンは町田康氏本人で、カメラマンは、かの有名な荒木経惟氏です。
★★★☆3.5です。