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さすがの展開力!『クラインの壺』by岡嶋二人

2018年08月29日 | 小説レビュー
200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。
その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。
美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。不世出のミステリー作家・岡嶋二人の最終作かつ超名作。「BOOK」データベースより


99%の誘拐』に続く、岡嶋二人第二段です。
岡嶋二人というのはペンネームで、

「岡嶋 二人(おかじま ふたり)は、日本の推理作家であり、井上泉(いのうえ いずみ、1950年 - 、多摩芸術学園映画科中退)と徳山諄一(とくやま じゅんいち 、1943年 - 、法政大学経済学部中退)によるコンビのペンネーム。名前の由来は「おかしな二人」。代表作は『そして扉が閉ざされた』『99%の誘拐』『クラインの壺』~Wikipediaより」

とのことです。

SFミステリーで、VR(バーチャルリアリティ)技術を駆使したゲーム機開発が題材となっております。

VRゲームといえば、漫画でいうところの『HUNTER×HUNTER』の(グリードアイランド編)や、『20世紀少年』のともだちランドで登場するゲームですが、こちらの小説の内容は、さらにそれを現実的に進化させたようなゲームです。

現代に生きる私たちがVRゲームというと、「ふ~ん」という感じですが、この作品が発表されたのが1989年ということにビックリしますよね。1989年といえば、任天堂のゲームボーイが発売された俊で、スーパーファミコンでさえ、1990年の発売ですからね。

小説とはいえ、そんな頃にバーチャルリアリティゲームを開発するという物語について、ある程度、技術的に齟齬のないような形で発表できることがすごいですよ

ストーリー的にもおもしろく、途中からページをめくる手が止まらなくなります。物語に没頭しすぎて、冒頭のくだりを忘れてしまっていて、エンディングを読みかけた時に「あ~!そうやったんや!」って気付きました。

何が現実で、何が仮想空間での出来事か区別がつかなくなってしまった主人公が絶望の淵に落とされるというラストを迎え、少しモヤっとした終わり方になりますが、これは白黒ハッキリ付けない方が良かったと思います。いずれにしても、素晴らしい作品だと思います。

★★★☆3.5です。
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