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展開力がスゴい!「天使のナイフ」by薬丸岳

2017年01月08日 | 小説レビュー
~天罰か?誰かが仕組んだ罠なのか?妻を惨殺した少年たちが次々と死んでいく! 生後5ヵ月の娘の目の前で妻は殺された。だが、犯行に及んだ3人は、13歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。4年後、犯人の1人が殺され、桧山貴志は疑惑の人となる。「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」。裁かれなかった真実と必死に向き合う男を描いた、第51回江戸川乱歩賞受賞作。


年末年始用に図書館から借りてきたんですが、結局、休み明けから読み始めました。

薬丸さんの作品は初めてやったんですが、この方は、沢山のミステリー小説を出しておられるので、少し期待しながら読み始めました。

少年犯罪をテーマにした作品です。新婚ホヤホヤで可愛い一人娘が生まれた途端、空き巣に入ろうとした中学生3人に愛妻を刺殺されてしまった旦那さんが主人公です。

少年犯罪を取り巻く、犯罪被害者、被害者家族、加害者、加害者家族、警察、弁護士、マスコミという関係者達の人間模様がリアルに描かれています。

もっと残忍に、もっとエグく描くことも出来るでしょうが、あえてそういう描写に頼ることなく、セリフ回しや表情等で緊迫感を盛り上げていきます。

3分の1あたりまで読んだときに「ははぁ〜、これはこういうパターンでエンディングまでいくな」と、ある程度の筋書きが見えますが、半分まできたところで、物語が一気に裏返ります!

もう、そこからはページを捲る手が止まりません!

スゴい展開でストーリーが進んでいき、最後にまた大きなどんでん返しがあり、さらに連鎖的にどんでん返しというか、ドミノ倒しのように、事件の真相が明らかになっていきます。

とても綺麗に繋がっていく様は圧巻で「さすがは江戸川乱歩賞受賞作品!」と思わされます。

惜しむらくは、登場人物のキャラクターに深みがなく、もう少し人となりに触れてくれれば、物語にダイブすることが出来たと思うだけに少し残念です。

でも、プロットの作り方、結末の意外性、伏線回収率等を思うとやはり素晴らしい作品であると言えます。

★★★★4つです!
コメント
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