素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

87歳で亡くなられた吉野弘さんの『祝婚歌』

2014年01月21日 | 日記
 淡路島の灘黒岩水仙郷の上空からの中継があった。去年より2週間ほど早く見ごろを迎えたとのこと。夏の気候が水仙にとっては合っていたようだ。確かに家の近くの斜面でも水仙が盛りを迎えてきた。どういう仕組んでセンサーが働いているのだろうと気候と植物の関係の不思議さをいつも感じる。
 昨日、詩人の吉野弘さんが亡くなられたことが報じられた。15日に肺炎で87年の人生の幕を閉じられた。今日の「余禄」は吉野さんを追悼し、作品の中の詩句がいくつか紹介されていた。たまたま、今日の夜は下の娘が私の誕生日を祝ってあげるからと家に招待してくれた。結婚して1年3ヶ月、料理の方も少し自信を持ち、腕前を披露したいとのこと。玄関先までは何度か行っているが、ゆっくり上がったことはあまりない。1年余りの生活のにおいが漂い、二人で生活を築いていることを感じたことが一番のプレゼントであった。家に帰って、吉野さんの『祝婚歌』を全文読み直した。


『 祝 婚 歌 』
       吉野 弘

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派過ぎないほうがいい
立派過ぎることは
長持ちしないことだと
気づいているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうち どちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい

立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったりゆたかに
光を浴びているほうがいい

健康で風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そしてなぜ 胸が熱くなるのか
黙っていてもふたりには
わかるのであってほしい


 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする