素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

明鏡国語辞典の編者・北原保雄先生

2012年01月25日 | 日記
 北原保雄先生の“問題な日本語”シリーズとその番外編である“かなり役立つ日本語ドリル”“かなり役立つ日本語クロスワード”などにはまった時期がある。そのことがきっかけとなり「明鏡国語辞典」(携帯版)を買ったのである。最初にある「編者のことば」も背筋の通ったものである。

 国際化が急速に進展し、国際会話能力の重要性が強調されているが、こういう時代に第一に大切なことは、自国の文化について理解を深め、自国語で正確に表現する能力を身につけることである。英語がどんなに上手に話せても日本人として外国の人に伝える内容を持っていなければ、真の国際人とは言えないし、日本語を正しく使うことのできない人が英語が上手になるはずもない。そういうことで、国際化の時代であるからこそ、日本文化、日本語の重要性が再認識されはじめている。

 私は、これまでにいろいろの辞典の編纂に携わってきた。その数は二十種を越える。その最初から一貫して変わらない私の信念は、既にある多数の辞典にもう一冊を加えるのではなく、今までにはないただ一つの辞典を創るということである。大した特徴もない辞典をもう一冊増やしても世の中を混乱させるだけである。今回の辞典編集にあたっても、この信念のもとに、これまでには存在しない最良・最高の辞典を創るべく、百回を越える検討会議を重ね、編集方針を練った。そして種々の新しい特長を創出することができた。

 人はなぜ辞典を引くか。どういう時に辞典を必要とするか。いろいろな理由があり、さまざまな場合がある。一冊の辞典でその全ての要請に応えることはできない。しかし、大切なことは、自分の調べたい項目が採録されていて、知りたい内容が十分に説明されていることである。そういう観点から、この辞典では、まず採録項目を需要度を重視して慎重に選定した。そして、一つ一つの項目に従来の辞典にはない種々の解説を施した。(後略)    平成十四年十月


 簡潔にして明瞭。心に深く刻んでおきたい。加えて「日本語 語感の辞典」の中村明先生のまえがきを読むとさらに“言葉”に対する認識が深まる。あえて引用はしない。以前途中で挫折した大野晋著「日本語練習帳」(岩波新書)をもう一度トライしてみようかなどと思っている。

 
コメント
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