素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

“和時計をつくる”8号まで進む

2012年01月07日 | 日記
 真鍮の部品を磨き、墨汁での墨入れ、精密ドライバーを使っての組み立てなど細かい作業の連続である。8号まで進み、少し形になってきた。
 「真鍮パーツは手の汗や油で腐食するので、作業終了後に手で直接金属パーツに触れた場所をメガネ拭きなどで拭いておく。」という注意が毎号しつこく書かれているので、犯人が指紋を消すようにやけに真剣に各パーツをこまめに拭いている。結構肩の凝る作業である。「こんなに気を使わないかん材料なんかな?」という素朴な疑問がわく。真鍮の基礎知識がほしくなった。

 黄銅(おうどう、brass)は、銅Cu と亜鉛Zn の合金で、特に亜鉛が20%以上のものをいう。真鍮(しんちゅう)と呼ばれることも多い。

 最も一般的な黄銅は、銅65%、亜鉛35%のものである。また、銅と亜鉛の割合によって、次のように呼ばれる。

丹銅(たんどう):亜鉛が5~20%未満、赤みが強い。ゴールドブラスとも言う。
七三黄銅:亜鉛が30%。イエローブラスとも言う。
六四黄銅:亜鉛が40%、黄金色に近い黄色を示す。
亜鉛の割合が多くなるにつれて色が薄くなり、少なくなるにつれて赤みを帯びる。一般に亜鉛の割合が増すごとに硬度を増すが、同時に脆さも増すため、45%以上では実用に耐えない。

 その他にも、被削性を高めるために鉛Pb を添加した快削黄銅や、錫(すず)Sn を添加し耐海水性を高めたネーバル(naval)黄銅(海軍黄銅とも言う)などがある。

 適度な強度、展延性を持つ扱いやすい合金として、約350年ほど前から広く利用されるようになった。青銅に比べて歴史が短いのは亜鉛の沸点が約900℃と低く、開放式の還元法では単体が得られなかったからである。

 日本で現在発行されている五円硬貨の素材もこの黄銅である。展延性に優れており冷間加工で使用される代表的な金属である。弾薬の薬莢や金属模型などその用途は広い。適度な硬さと過度ではない展延性によって、旋盤やフライス盤などによる切削加工が容易で尚且つ価格もほどほどなので微細な切削加工を要求される金属部品の材料として使用頻度の高い合金である。

 また、金に似た美しい黄色の光沢を放つことから金の代用品にもされpoorman's gold(貧者の金)と呼ばれ、日本の時代劇において小道具として使われる偽の小判も真鍮製のものが多い。日本では仏具、多くの金管楽器などに多用されている(金管楽器の別名であるブラス(brass)は黄銅の英名に由来している)。また、その特性故に昔から精密機械や水洗便器の給水管、理化学器械類や鉄道模型等の素材として使用された。エッチングして艦船模型に使用される場合もある。


 あまり神経質になる必要もなさそうである。まだまだ先は長いが、この段階でも職人のすごさを感じる。
コメント
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