「花子とアン」も5月5日から第6週目に入りました。修和女学校で、はな(吉高由里子)と腹心の友になった蓮子(仲間由紀恵)に突然見合いの話しが舞い込みます。落ち目の伯爵家を救うため、蓮子は兄の頼みで「九州の石炭王」とホテルでお見合いする羽目になるのですが・・・
お見合い場所のホテルという設定で、明治村の帝国ホテル中央玄関のロビーが登場しました。この建物の設計は、言わずと知れた20世紀建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライト。建物内外は透かし彫りのテラコッタや大谷石の彫刻で埋め尽くされ、まさに唯一無二のライトならではの独創的な空間が広がります。
■帝国ホテル中央玄関/大正12年(1923)/設計:フランク・ロイド・ライト
■帝国ホテル中央玄関ロビー~彫の深い大谷石のテラコッタの造形が光と影を織りなし、ライト特有の空間が広がります
■ロビー2階より吹き抜き空間を望む(正面1階は玄関、2階はティーバルコニー)
■まさにこのロビーの席で蓮様がお見合いをしていました(玄関を入りロビーに向かって右側)
明治村においでの際は、この椅子に座ってぼんやりするするのがお奨めです。
とにかく居心地がいいので、ライトの空間にどっぷり浸り、しばし時間がたつのを忘れます。
また2階のティーバルコニーでゆっくりお茶すれば、さらに至福のひと時が過ごせます。
■メインロビーの中央は3階までの吹き抜きの大空間ですが、周りの空間は天井や床の高さを変え、落ち着いた空間をつくりだしています
帝国ホテルは1967年、老朽化を理由に解体が発表されたのですが、時の首相佐藤栄作の鶴の一声で明治村への保存が決定しました。結局中央玄関部分だけの保存になりましたが、佐藤首相の英断が無ければ、世界的な文化遺産ともいえるライトの帝国ホテルを現在もこの目で見ることはかなわかったのです。映画やTVドラマで帝国ホテルを見るたびに、「明治村があってほんとうによかったなあ」と思います。
建築は外観を見るだけでは、その本当の素晴らしさの半分も体験できません。実際に帝国ホテルのロビーの椅子に座り、その贅沢な空間に身を浸せば、時間とともに深みを増した年代物の名酒を味わうような、芳醇なひと時を過ごすことができます。
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